自治体向け「LINE公式アカウント」を活用したDX事例6選&導入のコツも解説

本記事は、自治体向け「LINE公式アカウント」を活用してDXを推進したい自治体担当職員の方にむけて、「LINE公式を活用したDX事例」について紹介しています。

LINEヤフー株式会社の公式サイトでは2026年6月時点で約559の自治体が活用しており、自治体全体の3割、人口カバー率は6割を超えています。

自治体による「LINE公式を活用したDX事例」の中でも代表的なものは、以下です。

  1. 「セグメント配信機能」を活用して、必要な情報を必要な住民へ効率的に届ける
  2. 「防災機能」を活用して、災害時、迅速に情報を伝える
  3. 「チャットボット機能」を活用して、問い合わせ対応を自動化する
  4. 「アンケート機能」を活用して、住民の声を収集する
  5. 「通報機能」を活用して、地域課題を早期発見する
  6. 「カレンダー予約機能」を活用して、行政手続きをオンライン化する

以下、それぞれの活用法について解説していきます。

なお、下記記事で、導入機能別に「課題設定~業者選定~導入~結果のプロセス」について詳細を紹介しています。

自治体向け「LINE公式アカウント」を拡張する「スマート公共ラボ for GovTechプログラム」については、下記をご覧ください。

1.自治体向け「LINE公式アカウント」活用が広まっている背景

自治体のDXにおいて自治体向け「LINE公式アカウント」活用が広まっている背景には、大きく3つの要素があります。

  1. 自治体が住民とのコミュニケーション上で抱える課題と住民ニーズの変化
  2. 業務効率化と職員の負担軽減
  3. 自治体向けの「地方公共団体プラン」の存在

1-1.自治体が住民とのコミュニケーション上で抱える課題と住民ニーズの変化

自治体向け「LINE公式アカウント」活用が広がっている背景には、自治体が住民とのコミュニケーション上で抱える課題と住民ニーズの変化があります。

<自治体が住民とのコミュニケーション上で抱える課題>

・広報誌を読まない住民が増えている
・ホームページを定期的に確認する人が少ない
・若年層との接点が不足している

特に災害情報や子育て支援情報など、必要な人へ必要な情報を届けることは自治体にとって大きな課題となっています。

また、少子高齢化や人口減少が進む中で、自治体には限られた人員で質の高い行政サービスを提供することが求められています。

<変化した「新しい」住民ニーズ>

・24時間いつでも情報を取得したい
・スマートフォンで手続きを完結したい
・必要な情報だけを受け取りたい

などといったニーズがあります。

自治体向け「LINE公式アカウント」活用により、こうした住民の「新しい」ニーズに応えられ、行政サービスの利便性を向上(DX)させることが可能です。

1-2.業務効率化と職員の負担軽減

LINEは情報発信から問い合わせ対応・予約受付まで幅広い行政サービスを提供できるコミュニケーションツールです。

行政手続きのオンライン化や問い合わせの自動化(チャットボット対応)により、業務効率化と職員の負担が軽減
窓口への来庁や電話対応が減り、職員がより重要な業務に集中できる環境を整えられます。

1-3.自治体向けの「地方公共団体プラン」の存在

LINE公式アカウントには自治体向けの「地方公共団体プラン」があります。
一般の公式アカウントとは異なり、自治体専用の機能や認証バッジが付与されるため、住民が公式情報であることを一目で確認できる信頼性の高いアカウントです。

2.自治体向け「LINE公式アカウント」を活用したDX事例6選

ここでは代表的な6つの活用事例をご紹介します。

  1. 「セグメント配信機能」を活用して、必要な情報を必要な住民へ効率的に届ける
  2. 「防災機能」を活用して、災害時、迅速に情報を伝える
  3. 「チャットボット機能」を活用して、問い合わせ対応を自動化する
  4. 「アンケート機能」を活用して、住民の声を収集する
  5. 「通報機能」を活用して、地域課題を早期発見する
  6. 「カレンダー予約機能」を活用して、行政手続きをオンライン化する

【事例1】「セグメント配信機能」を活用して、必要な情報を必要な住民へ効率的に届ける

自治体では広報誌やホームページを通じてさまざまな情報を発信していますが、「住民に適切な行政情報が届きにくい」という課題があります。

特に若年層や子育て世代では自治体ホームページを定期的に確認する機会が少なく、制度やイベント情報を見逃してしまうケースも少なくありません。

また一斉配信だけでは必要な人に必要な情報を届けることが難しく、情報過多による配信離れも発生しやすくなります。

2-1-1.自治体向け「LINE公式アカウント」が解決できる課題

解決できる課題

必要な住民に絞って、効率的に行政情報を届けたい

LINEを活用することで、住民が日常的に利用するアプリへ直接情報を届けることができます。
さらにセグメント配信機能を活用することで、住民の属性に応じた情報提供も可能です。
例えば、

配信対象情報例
子育て世代向けの支援制度案内保育所・学童の空き情報、乳幼児健診のお知らせなど
高齢者向けの健康情報介護予防教室の案内、インフルエンザ予防接種のお知らせなど
参加希望者・観光者向けの観光・イベント情報地域の祭り・マルシェ・花火大会の告知など
移住定住者向けの支援情報空き家バンク情報、移住相談会のご案内など
地域別のごみ分別・収集日カレンダーごみの種別を地区ごとに、収集スケジュールを配信
利用者別の行政手続きリマインダー確定申告時期のお知らせ、各種申請期限の案内など

など、必要な情報を必要な人へ効率的に届けられます

住民にとっては関心のない情報が大量に届かないため、自分に必要な情報だけが届くようになります

2-1-2.導入事例

兵庫県伊丹市ではセグメント配信とメール連携を組み合わせて「学級閉鎖などのお知らせ」を保護者に迅速に届ける仕組みを構築しました。

子どもが通う学校の情報のみをLINEで受け取れるようにしたことで、保護者への情報伝達の漏れを防ぎつつ、担当課の電話問い合わせ対応も軽減しています。

実際に導入した兵庫県伊丹市のインタビュー記事はこちらです。

【事例2】「防災機能」を活用して、災害時、迅速に情報を伝える

災害時には正確な情報を迅速に住民へ届ける必要があります。
防災無線だけでは聞き取れない場合や、外出中の住民へ情報が届かない場合もあります。

さらに災害発生時には自治体への問い合わせが集中し、職員の負担が増加します。

2-2-1.自治体向け「LINE公式アカウント」が解決できる課題

解決できる課題

災害時にリアルタイムで情報を発信したい

LINEの防災機能を活用することで災害時にリアルタイムで情報を発信できます。

主な活用例として、

・避難指示/避難勧告の配信
・避難所情報の案内
・気象警報の通知
・災害対応状況の共有

などがあります。

GPS連動により、現在地から一番近い避難所を検索することが可能となり、Googleマップで指定した避難所まで誘導してくれるので、住民は自治体に電話で問い合わせなくても、LINEでリアルタイムに情報を受け取れます

2-2-2.導入事例

台風が多発する鹿児島県伊仙町では防災無線だけでは強風時に聞き取れないという課題を抱えていました。

LINEと防災無線を連動させることで、台風接近時にも住民のスマートフォンへ避難情報や気象警報をリアルタイムに届けられるようになり、防災情報をLINEでも受信できると周知したところ、友だち登録数が大幅に増加。

情報伝達の確実性が高まっています。

実際に導入した鹿児島県伊仙町のインタビュー記事はこちらです。

【事例3】「チャットボット機能」を活用して、問い合わせ対応を自動化する

電話やメールでの問い合わせ対応は職員にとって大きな業務負担となっています。
特に同じ内容の問い合わせが繰り返され、職員の時間が消費されるケースも少なくありません。

2-3-1.自治体向け「LINE公式アカウント」が解決できる課題

解決できる課題

チャットボットで24時間自動応答し、電話の問い合わせを削減したい

LINEのチャットボット機能を活用することで、よくある問い合わせに24時間自動応答できます。

主な活用例として

・ごみ分別方法の自動案内
・各種手続きに必要な書類・窓口の案内
・施設の開館時間、休館日の確認
・子育て、介護サービスの制度案内

などがあります。

深夜や休日でも即座に情報を提供できるうえ、一問一答形式によるスムーズなコミュニケーションが実現
職員は電話やメール対応の時間を削減でき、他業務や窓口相談対応に集中できるようになります。

2-3-2.導入事例

高知県宿毛市は、公式LINEにチャットボット機能を導入。
住民は時間を気にせず、LINEで質問すれば会話形式で自動的に答えにたどり着けるようになった結果、職員の対応負担が大幅に削減されました。

特にLINEに慣れた若い世代の窓口対応としてチャットボット機能は定着し、市からの情報も届きやすくなりました。

実際に導入した高知県宿毛市のインタビュー記事はこちらです。

【事例4】「アンケート機能」を活用して、住民の声を収集する

自治体が実施するアンケートや意見募集では、回答率の低さが課題となることがあります。
紙のアンケートでは記入して回答する手間がかかり、十分な意見が集まらないケースも。

2-4-1.自治体向け「LINE公式アカウント」が解決できる課題

解決できる課題

住民が手軽にアンケートへ回答できる環境を作りたい

LINEのアンケート機能はスマートフォンから簡単に回答できるため、参加率の向上が期待できます。

例えば、

・市民満足度調査
・イベントアンケート
・政策に関する意見募集
・利用者アンケート

などに活用できます。

住民はLINE上で回答できるため、紙に記入する手間がかかりません。
高齢者にも文字が大きく、タップしやすい工夫がされているので、アンケートの回答率が増加する可能性があります。

2-4-2.導入事例

熊本県長洲町では、アンケート機能を活用し、住民アンケートやイベント申し込み受付を実施しました。

以前は電話やメール、郵送による受付が中心でしたが、LINE上で回答や申し込みを完結できるようになったことで、住民の利便性向上と職員の集計・管理業務の効率化を実現しています。

導入後は友だち登録数も増加し、住民とのコミュニケーションが強化されました。

実際に導入した熊本県長洲町のインタビュー記事はこちらです。

【事例5】「通報機能」を活用して、地域課題を早期発見する

道路の損傷や不法投棄、空き家などは、自治体が把握するまで時間がかかる場合があります。
電話による通報では場所や状況が正確に伝わらず、確認に時間を要する場合も。

2-5-1.自治体向け「LINE公式アカウント」が解決できる課題

解決できる課題

住民からのLINE通報で早期に地域の問題を発見したい

LINEの通報機能を活用すれば、道路の損傷、不法投棄、空き家などを写真・位置情報付きで住民が即座に報告できます。
住所が分かりにくい場所なども特定しやすい点がメリットです。

主な通報例として

内容通報例
道路・交通道路の穴、ガードレールの破損、街灯の故障、歩道の舗装が剝がれているなど
公園・公共施設遊具やベンチの故障、公衆トイレの汚損など
環境・景観不法投棄、道路上の落下物、公園の草木の繁茂、ごみ集積所の散乱ごみ、空き家など
防災・安全河川や水路の異常、土砂崩れの兆候、放置自転車、不審者の目撃など
危険生物・動物熊やイノシシの目撃情報、小動物の死骸の処理依頼など

などがあります。

住民からのLINE通報で自治体が即時に状況を把握し、地域課題の早期発見・迅速な対応が可能になります。

2-5-2.導入事例

愛知県大府市では住民が道路損傷や公共施設の不具合を写真と位置情報付きでLINEから報告できる損傷通報機能を導入しました。

以前は電話・メール・窓口での通報が中心で手続きに手間がかかっていましたが、スマートフォンからリアルタイムに通報できるようになったことで、職員が現場に出向く前に状況を正確に把握し、迅速な対応が可能になっています。

実際に導入した愛知県大府市のインタビュー記事はこちらです。

【事例6】「カレンダー予約機能」を活用して、行政手続きをオンライン化する

窓口への来庁が必要な行政手続きは、住民にとって時間的・労力的に負担となるケースがあります。
特に働く世代や子育て世代は平日の窓口利用が難しく、手続きを後回しにしてしまいがちです。

2-6-1.自治体向け「LINE公式アカウント」が解決できる課題

解決できる課題

LINEから行政手続きの申請・予約をできるようにしたい

LINEのカレンダー予約機能を活用することで住民はスマートフォンから各種申請・予約が完結できるようになります。

主な活用例として

・各種証明書の申請受付(住民票、印鑑証明など)
・粗大ごみ収集の申込み
・施設予約(公民館・体育館など)
・ワクチン接種・検診の予約

などがあります。

住民は24時間いつでも手続きが可能となり、利便性が大きく向上し、職員も窓口対応を削減でき、専門性の高い業務に集中できるようになります。

2-6-2.導入事例

佐賀県鹿島市では、確定申告相談の予約をLINEのカレンダー予約機能でオンライン化しました。

従来は市民が市役所へ来庁して予約する必要がありましたが、LINEのカレンダーから希望日時を選ぶだけで申し込めるようになり、さらに24時間いつでも予約できます。

2025年の申告時には約28%がLINEから予約、利用者の約89%が「満足」「やや満足」と回答するなど、住民の利便性向上と窓口緩和につながっています。

実際に導入した佐賀県鹿島市のインタビュー記事はこちらです。

「スマート公共ラボ」を導入した自治体一覧はこちらの記事でご紹介しています。

ニュース記事:【最新導入事例】LINEを活用した行政DX『スマート公共ラボ』の自治体への導入事例・実績をご紹介します

3.自治体向け「LINE公式アカウント」導入のコツ

自治体向け「LINE公式アカウント」の導入を成功させるためにおさえておきたい4つのコツを紹介します。

3-1.解決したい課題を明確にする

自治体向け「LINE公式アカウント」の導入を成功させるためには、まずどのような課題を解決したいのかを明確にすることが重要です。
例えば、

・防災情報を迅速に届けたい
・子育て世代との接点を強化したい
・ごみ分別に関する問い合わせを減らしたい
・住民参加を促進したい

など自治体ごとに課題は異なります。

目的が曖昧なまま運用を始めると、配信内容に一貫性がなくなり、住民にとって価値のあるアカウントになりません。
導入前に解決したい課題と目標を整理し、LINE活用の方向性を定めることが重要です。

全国180以上の自治体様でDX実績多数!

プレイネクストラボの「スマート公共ラボ for GovTechプログラム」は、目的整理の段階から自治体と一緒に取り組みます。
「何を解決したいか」「誰に何を届けたいか」といった企画検証段階からサービス開始まで、LINEによる住民窓口サービスの立ち上げ支援を行っています。

これまで180以上の自治体や団体への導入実績をもとに、それぞれの方針やコンセプトに合った最適なLINE活用のサポートが可能です。

お問合せはこちら →

3-2.セグメント設計を行う

自治体向け「LINE公式アカウント」の強みの一つが住民属性に応じた情報配信ができることです。
すべての情報を一斉配信してしまうと、住民にとって不要な情報が増え、ブロックや配信離れにつながる可能性があります。
例えば、

・子育て世帯
・高齢者
・防災情報を希望する住民
・観光・イベント情報に興味がある住民

など属性や興味関心、地域別に配信対象を分けることで、必要な情報を必要な人へ届けることができます。
住民満足度を高めるためにも、導入初期から適切なセグメント設計を行うことが重要です。

3-3.継続的な情報発信を行う

住民との接点を維持するために継続的な情報発信は欠かせません。
しかし、配信頻度が多すぎると受け取る側の住民の負担となり、ブロック率の増加につながる可能性があります。

住民に「登録してよかった」と感じてもらえる情報発信を継続することが成功のポイントです。

3-4.効果測定を実施する

自治体向け「LINE公式アカウント」は、導入後の効果を定期的に確認することも重要です。

・友だち登録者数
・配信開封率
・アンケート回答率
・問い合わせ件数の変化
・通報機能の利用件数

などの指標を確認することで、運用状況を把握できます。

効果測定を行えば、どの情報がよく閲覧されているか、どのセグメントの反応が高いか、改善すべき課題は何か、を分析しやすくなります。
分析結果をもとに継続的な改善を重ねることで、自治体向け「LINE公式アカウント」の活用効果をさらに高められるでしょう。

なお、下記記事で、導入機能別に「課題設定~業者選定~導入~結果のプロセス」について詳細を紹介しています。

自治体向け「LINE公式アカウント」を拡張する「スマート公共ラボ for GovTechプログラム」については、下記でご紹介します。