【北海道滝上町】キャンセル枠もすぐに埋まる!LINEを活用した“ワクチン接種予約”の現場から

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北海道滝上町による自治体LINE公式アカウントの活用事例。スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。
新型コロナワクチンの接種予約にLINEを活用している自治体にインタビュー

現在、世界各国で新型コロナウイルスの対策として、ワクチン接種の実施が速やかに進められています。2021年6月に北海道の滝上町役場が、GovTechプログラムを導入した理由も、新型コロナワクチン接種予約を迅速かつ正確に実施するためでした。そこで今回は、現場のご担当者にインタビューを敢行し、LINEによるワクチン予約の使い勝手や実体験など、現在進行系のリアルな現状を伺いました。


北海道滝上町による自治体LINE公式アカウントの活用事例。スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。
左:保健福祉課健康推進係 保健師 八木沼 優氏 右:保健福祉課長 中村 伸夫氏

—まず、自己紹介と所属部署のご説明をお願いします

八木沼さん:滝上町役場保健福祉課健康推進係で保健師をしている八木沼 優と申します。普段は、母子保健や成人の健診業務等町民様の健康に関する業務を担当しています。今回、新型コロナウイルス感染症の対策担当部署として、新型コロナウイルスワクチン接種の実施にあたり、LINEを活用させていただいております。


情報発信ツールとして、以前よりLINEを活用されていましたか?

八木沼さん:滝上町では、元々はLINEを導入していませんでした。内部ではLINEの導入を検討してきた経過はあり、行政からの情報発信の手段として町民の方々の利便性を高める効果を期待し、検討をしておりました。そして今回のワクチン接種予約がきっかけとなり、LINEを導入することになりました。


困難だった人員確保の問題を
GovTechプログラムがカバー

—GovTechプログラムを導入し、ワクチン接種予約に活用しようと思われた理由は?

八木沼さん:はじめは、ワクチン接種予約にあたり、人員を確保し、コールセンターを立ち上げることを検討していましたが、人員を確保することが難しく、また、ワクチン接種はスピード感が求められていることから、人材育成の期間も確保が難しい状況でした。

 そんな中、厚生労働省のワクチン接種に関する自治体向け説明会で、ワクチン接種の効率化のため、町民の予約等の利便性を高め、広く町民の方に接種をしてもらうことが求められている事と、その方法の一つとしてLINE等のシステムを活用する手段がある事を知りました。後日、厚生労働省主催の「LINEを活用したワクチン接種予約の説明会」も開かれ、ワクチン接種予約の効率化や人員の確保等の課題を解決するため、GovTechプログラムによるワクチン接種予約の導入を決定しました。

北海道滝上町による自治体LINE公式アカウントの活用事例。スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。

—たしかに人員の確保には、さまざまな困難が予想されます。導入を決定されるまでのプロセスはいかがでしたか?

八木沼さん:今までLINEの導入に至るまでに、職場内でそもそもLINEがわからない方がいるなど、LINEを導入する利点を伝えることが課題としてありました。また、小規模自治体だからこそ「人力で対応できないか」等の意見もありました。

 そこで、まずはLINEに登録をしてもらい、LINEを知ってもらうことから始めました。そして、ワクチン接種予約も「LINEならいつでもどこでも予約できる」という利便性をお伝えし、「人力ではこのようなスピーディな対応が難しい」ことを説明することで、周囲の同意を得ることができました。


—まだLINEを使ったことのない方にも実際に利便性を実感していただくことで、理解が深まったのですね。では、GovTechプログラムを導入して運用する際に、友だち登録を増やすために行った施策はありますか?

八木沼さん:特別なことはしておらず、ワクチン接種の予約にあわせて町民の方々がLINEの登録をしてくださったため、ワクチン接種の予約が進んでいくと同時に、お友達の数が増えました。現在では約500名(町民全体の25%)の方々にご利用いただいています。


町民の全世代がLINE予約を活用し
コールセンターの予約数は減少

—実際にワクチン接種予約を導入されてから、メリットを感じられた点は?

八木沼さん:予約状況がタイムリーに把握できるため、事前に設定している予約枠の調整をスムーズに行うことができました。思ったよりも予約数が伸びてきているなど、その時々の状況を知る事ができる点が大きなメリットです。我々が思っていたよりも、町民の方々の多くがLINEで予約してくれたため、実際に予約をされる町民の方々のほうが、LINEを導入したメリットを感じてくれているようです。

 LINEでの予約が難しい方向けにコールセンターも設置し、コールセンターでの予約の方が多くなると見込んでいましたが、全世代でLINEによる予約の方が多くなる結果となり、大変助かっています。

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ワクチン接種に関するメニュー画面

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ワクチン接種に関するメニュー画面

—実際に現場で働いている方々の負担も軽くなったのでは?

八木沼さん:ワクチン接種予約受付をコールセンターとLINEに限定しているため、滝上町に直接予約をされることはほとんどありません。コールセンターの入電数は1日で1,000件を超える日もあり、LINEのシステムで予約を受付した数も1,200件を超えていることを考えると、この予約すべてを滝上町で受けることはとてもできなかったと感じています。

 町民の方々にもシステムをご理解をいただいており、ワクチン接種予約が開始する日程や予約受付に関するお問い合わせがほとんどないため、LINEやコールセンターでの照会等で確認していただいているのだと思います。


貴重なワクチンを破棄しない
キャンセル枠もすぐに埋まる

—現在はキャンセル対応にも活用されているそうですね?

八木沼さん:ご案内をする都合上、接種日の1週間前までに予約をもらうようにしていましたが、予約を入れた後のキャンセルがどうしても出てしまいます。ワクチンを無駄にしないために、キャンセル枠を埋めるための方法を検討していました。この話をプレイネクストラボ様にさせていただいた際に、現在のキャンセル待ち登録のシステムをご提案・ご対応いただきました。

 実際に、キャンセルが発生した際に利用したところ、すぐにお申し込みがあり、ワクチンを余すことなく有効活用することができています。すぐにお知らせを出すことができ、すぐに反応が返ってくることがありがたいです。

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—自治体と町民の方々が一体となって、ワクチン接種が的確に行われている様子が伺えます

八木沼さん:新型コロナウイルスワクチン接種でのやりとりを通して、キャンセルが発生した際に即座に町民の方々とやりとりを行い、ワクチンの余剰を生じることなく、効率的なワクチン接種を実施することができており、町民の方々のご協力のもと、滝上町全体でワクチン接種を実施できていると感じています。

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5月上旬頃から一面に広がる芝ざくら


最新情報をLINEでタイムリーに
届けたい人にピンポイントで届く

—新型コロナに関する最新状況やワクチン接種予約なども含めて、従来までの広報ツールと比べて、町民一人ひとりに情報を届けやすくなりましたか?

八木沼さん:滝上町ではお知らせを発出する方法として、HP、町内回覧、新聞朝刊折込などの方法がありますが、どれも発信までに時間がかかり、こまめに情報発信することが難しい状況でした。LINEでは、こまめに情報を発信でき、情報が欲しい人のところにきちんと届けることができるため、タイムリーに情報発信をすることができていると感じています。

 現在は新型コロナウイルスワクチン接種に関する情報のやりとりに限られていますが、LINEの設定で「町からのお知らせを受け取る」を選択されている方も徐々に増えてきている状況です。情報を受け取った町民の方が、他の町民の方にも情報を伝えてくれているといったお話も聞いており、LINEが情報発信の大切な手段の一つになっています。

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ハーブガーデンにサクラバラが咲き誇る


小規模の自治体においても
LINEによる恩恵が大きいと実感

—大都市と比べて、滝上町様のような小規模の自治体でも、LINEを活用することの必要性は感じられましたか?

八木沼さん:小規模な自治体だからこそ、以前までは電話での個別対応など自治体職員で対応していることが多かったと思います。しかし今回、GovTechプログラムを活用した受付システムを利用したことで、少ないマンパワーでも公平に受付業務を行うことができたことから、GovTechプログラムなくしてワクチン接種は成り立たなかったと感じています。

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秋に色づく錦仙峡


—今までマンパワーに時間を取られていた部分から解放されると、業務の幅が広がって、町民の方々へのサポートがより手厚くなりますね。ところで、機能面等で困っていることや、今後改良をしてほしい点はございますか?

八木沼さん:LINEを導入すると決定した後、ニュースにもなりましたLINEの個人情報の問題があり、自治体内では個人情報保護の安全性を疑問視する声もありました。そのため、「今回のGovTechプログラムでは個人情報の管理は問題ない」ということを皆様に発信してもらえるとありがたいです。 

 機能面では、ワクチン接種の予約から当日会場での受付業務まで一貫してシステムを利用している経緯があるため、予約された情報が見やすいように並び替えなどの機能を充実してもらえるとありがたいです。

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冬の氷点下に凍る渚滑川


ご高齢の方のご家族からも
LINEによる予約が好評

—導入後、職場仲間からの反応はいかがでしたか?

八木沼さん:自治体内の職員全員にLINEを導入したことは特にお伝えしていなかったのですが、意外と興味を持って閲覧していただいている方が多いです。ワクチンに関するお知らせをLINEで通知したことも、情報をタイムリーに確認できるため好評でした。特にご高齢のご家族がいる方は、その方が代理で予約をされる際に、コールセンターに電話することが仕事中はむずかしいのですが「LINEなら手軽に予約できるので助かった」というご意見もありました。


予約殺到によるトラブルなし
スムーズな予約受付に成功

—実際にLINEで予約をされた町民の方々から、反応や感想などはございましたか?

八木沼さん:ワクチン接種の予約に関して「コールセンターがつながりにくい」「予約が多いため受付を停止した」などのニュースが多く流れていましたが、滝上町ではGovTechプログラムにより、ワクチン接種を希望される方が予約から漏れることなく、予定通り受付することができました。LINEでの予約も思っていたより多くの方々にご活用いただき「LINEでスムーズに予約が取れた」と好評でした。


—自治体にとっても町民の方々にとっても、LINEを活用することで、双方に安心感が広がっているように感じました。ワクチンの予約以外にも、今後の拡充予定はありますか?

八木沼さん:今後は新型コロナウイルスワクチン接種の展開次第ですが、LINEでの予約は今後も実施したいと考えています。他にも、町民の方々の意見を聞きながらではありますが、乳幼児等の予防接種や各種健診等の予約で活用できればと考えています。

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はっか生産量日本一の滝上町


迅速に導入できるシステム
知識がなくても誰にでも活用できる

—本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。では最後に、まだ導入を迷っている自治体様へメッセージをお願いします

八木沼さん:今回、滝上町のような小規模な自治体で、導入するにあたり、運用前はどのくらいメリットがあるのかよくわからないことも多かったですが、実際に導入することでワクチン接種の予約業務をLINEで賄うことができ、電話応対の時間が一気に削減できただけでなく、受付業務での名簿管理やシステム管理などたくさんの恩恵を受けています。

 LINEでの受付システム導入やシステムの運用にかかる準備の時間もあまりかからなかったですし、担当している職員も広報担当等ではなく、専門的な知識のない保健師が担当しておりますが、プレイネクストラボ株式会社様にご助力いただきながらシステムを立ち上げ・運用できています。

北海道滝上町による自治体LINE公式アカウントの活用事例。スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。


GovTechプログラムを導入した滝上町では、報道で見受けられるような「受付殺到によるトラブルや混乱」はなく、町民の方々へスピーディにワクチン接種が実施されています。また、キャンセルによって余ってしまいそうなワクチンも有効活用するため、キャンセル枠の発生をLINEで速やかに通知することで、ワクチン接種を希望する町民の方々からのLINEによる予約受付もスムーズです。今回の滝上町のような小規模な自治体においても、マンパワーを圧倒的にフォローしてくれる、GovTechプログラムの可能性を伺い知ることができました。

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