
プレイネクストラボ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:柏 匠、以下 プレイネクストラボ)は、GovTechプログラムの「スマート公共ラボ」で提供している最新の行政DX事例を紹介する無料オンラインセミナーの第14回を9月30日(月)に開催しました。
今回は「スマート公共ラボ電子申請」をテーマに、福岡県大川市の活用事例を詳しく紹介。このブログでは、セミナーの内容をわかりやすくレポートします。
Contents
スマート公共ラボとは?
スマート公共ラボは、自治体職員の業務効率化と住民の満足度向上をサポートするサービス。スマート公共ラボ for GovTechプログラムと電子申請を柱に、「役所に行かない・窓口で待たない・文字を書かない」を叶える自治体のデジタル総合窓口として、全国約100の自治体公式アカウントで活用されています。

ChatGPTを活用したAIコンシェルジュや、LINEで作成するマイ・タイムラインなど、開発力を活かしたオリジナル案件でも多数の実績があります。

スマート公共ラボは自治体向けの分かりやすいシステムとなっており、直観的な操作が可能。導入時の負担を減らすために、複雑な作業はプレイネクストラボが代行します。ヒアリングを行いながら企画をし、設計、設定、公開までしっかりとサポート。

スマート公共ラボの導入によってLINE公式アカウントの機能を拡張し、自治体向け機能が利用可能に。細かく条件設定したセグメント配信やチャットボット、帳票作成などのほか、電子申請もできるようになります。

管理者向け機能
充実したサービスと併せて、管理者の負担軽減につながる様々な機能を搭載。セグメント配信やチャットボット、アンケート作成の際はプレビューでイメージを確認しながら進めることができ、機能ごとにテスト環境も用意されています。複数管理者の同時操作や、閲覧権限の設定も可能で、管理画面からオンラインマニュアルにいつでもアクセスできます。

弊社オリジナルの申請処理のタイムライン履歴によって、申請の処理状況(受付、決済、返金、郵送など)を履歴に残せるため、状況確認が簡単。住民票、戸籍謄本など電子申請のテンプレートも複数用意されています。また、通報管理機能や、CSVによる一括設定ができる点も特長です。

導入時プロセスとスケジュール
全体のプロセスは、大まかに企画、設計、設定、公開という流れ。平均して3ヶ月の期間で構築を進めていきます。まずは実装するコンテンツを策定し、その内容をもとに弊社が設計書を準備。追記書を書いていただき、弊社がシステムを設定し、検証して問題がなければ公開という形です。業務の負担がかかるところは弊社が対応するため、自治体職員に大きな負担なく導入できます。

スマート公共ラボLINE公式アカウント
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スマート公共ラボ 電子申請

スマート公共ラボの電子申請は、マイナンバーカードを読み取ることで公的個人認証、本人確認に対応。オンライン決済も対応しており、ユーザーがLINEアプリ内でマイナンバーカードの認証から決済まで一貫して申請できます。また、LGWANアクセス対応により、申請の処理確認などをいつも使っている業務用の端末からできるのもポイント。

大きな特長のひとつが、専用アプリ不要で、 LINE上ですべて通してできる点。一般的に他のシステムだと、カードリーダーや別のアプリのダウンロードが必要な場合がありますが、弊社のシステムはLINEのトーク内から決済まで完了します。ユーザーと自治体職員それぞれの利便性を追求しており、LINEアプリを持っていないユーザーがWebブラウザから申請できる準備も進めています。

公的個人認証と決済を組み合わせることで、さまざまな行政手続きをカバー。住民票や戸籍謄本のような本人確認強度の高いもの、助成金といった各種有償サービスなどにも対応しています。本人確認や決済が必要ない申請にも使用可能。

スマート公共ラボ 電子申請デモンストレーション
今回のセミナーでは、デモンストレーションを通して電子申請の利用法やシステムを参加した方に見ていただきました。
大川市のLINEトーク画面では、リッチメニューにあるWeb申請のアイコンをタップし、住民票や戸籍、印鑑などの項目を選択すると、電子申請のシステムが起動。まず申請の説明(申請の対象者や料金など)に目を通し、下側にある「申請に進む」ボタンを押すと、記入用のフォームに移動します。自由記入の項目を埋めていき、認証すると、マイナンバーカード読み取り画面が立ち上がります。署名用電子証明書パスワードを入力し、マイナンバーカードをかざすと、カードに登録されている情報が記入フォームに反映される仕組み。決済が必要な場合は、クレジットカードやPayPayといった支払い方法を選んで決済できます。

ホーム画面から、今受け付けている申請の一覧を見ることができ、新しく申請されるとまずは「未処理」に分類され、対応状況によって「処理中」「完了」「取り下げ」といったステータスに変わっていく仕様。各申請の詳細画面では、申請内容や決済情報、基本情報、この申請がどのように処理されてきたかという履歴を確認できます。タイムラインにはメモを残せるため、業務を引き継ぎたい場合にも便利です。

ユーザーに通知したいことがある場合は、LINEメッセージ送信機能からメッセージや画像を送ることが可能。例えば、申請内容に誤りがあることをユーザーに知らせるといった使い方ができます。ただし、ユーザーから返信があっても内容確認はできません。
送付状発行の機能もあり、送付先はフォームで取得した内容を自動で反映。文章は任意で設定でき、パソコンから印刷機に出力すれば送付状を簡単に作成できます。
弊社のシステムは、受け付けた決済の返金も管理画面から可能。請求枚数が多くて送料を超えてしまう場合などに、追加料金の再決済依頼もできるようになっています。

電子申請のフォームは管理画面で作成可能。申請マスター設定では、公開期間や料金、マイナンバーカード読み取りなど、申請の基本項目を設定します。手数料や送料の値段を設定すると、申請が終わった後に決算につながる流れ。申請受付数と申請者の申請可能数の上限を設けられるため、イベント予約など定員がある申請に活用できます。
大川市の事例紹介
福岡県大川市について

福岡県南西部にある大川市は、人口約3.1万人、面積33.62㎢。室町時代から続く家具の一大生産地で、お米やイチゴ、アスパラガスなどの農産物、筑後川や有明海で獲れる魚介類や海苔が有名な、美味しい食にも恵まれた土地です。
大川市のDX推進に向けた取り組み

大川市は令和3年度より「デジタルトランスフォーメーション加速化事業」を開始し、令和4年度には行政DXを推進。令和5年度からは新たなフェーズとして、市民満足度向上に向けた地域DXを推進し、令和5年5月に庁内でDXチームを発足して行政DXを加速させてきました。

大川市は、行政DXと地域DXという2つに分けており、行政DXは「業務改革」と「ペーパーレス化」をキーワードに、職員の業務効率化を目指しています。地域DXは、市民の利便性向上のための「デジタル窓口(行かない市役所)」、「スマート窓口(書かない市役所)」をキーワードに、様々な取り組みを行っています。
令和5年1月「スマート公共ラボ電子申請」導入

令和5年1月に大川市、プレイネクストラボ、DMM.comが共同開発した電子申請サービスの実証実験を開始。サービス導入前は、各種手続きのため役所に行くと待ち時間が長く、郵送請求の場合も証明書が手元に届くまでにタイムラグが生じていました。その解決策としてLINEを活用した電子申請を導入することで、市民はスマートフォンからいつでもどこでも手続きが可能になりました。

LINEトーク画面のリッチメニューから、迷わず操作しやすい動線を作り、申請画面に遷移できる設計。実証実験で導入した申請では申し込み件数が開始2ヶ月で250件を超え、リーフレットなどPR施策の効果もあってLINEからの申請の割合は96%となりました。市民からは「必要書類のコピーをとることが面倒だったが、カメラで撮影するだけで終わるので簡単」、「小さな子供を連れて外に出るのは大変なので、役所に行かずに申請できるのは嬉しい」といった声があり、職員からも「今まで確認に1申請あたり10分かかっていたが、導入後は5分になり、50%時間削減できた」などと好評でした。

行政手続きの拡充と利用状況

証明書類や給付金など全14種類の行政手続きに対応。昨年1月に大学生等臨時給付金申請、2月に出産・子育て応援ギフト申請を開始し、6月には住民票の写しをはじめとした各種証明書に拡充され、今年1月に令和5年度住民税非課税世帯臨時特別給付金、9月からは令和6年度大川市定額減税補足給付金(調整給付)に対応しています。申請を追加したい際でも、フォーマットを活用して管理画面で素早く対応できるシステムとなっています。


昨年1月から今年8月までの電子申請の件数の推移を見ると、行政手続きの種類増加に伴って利用件数が堅調に増加していることがわかります。申請の内訳は出産・子育て応援ギフト申請が44.9%と一番多く、給付金申請の2種類と戸籍謄本・抄本で8割を占めます。


利用する時間帯は10時と14時が多く、夕方以降の利用も一定数あります。開庁時(平日8時30分~17時15分)と閉庁時(土日祝日含む)の割合は、開庁時56.8%、閉庁時43.2%。この結果から、役場に行けない利用者(閉庁時)を電子申請が4割程度カバーしていることがわかりました。

電子申請の月間の申請数と大川市LINE公式アカウントの友だち増加数の推移では、電子申請の種類が増えると申請件数が増え、友だち数とユニークユーザーの増加につながっていることがわかります。
電子申請の利用状況まとめ

大川市のスマート公共ラボ電子申請は、6割が開庁時間内、4割が閉庁時間に利用され、子育て給付金の申請は9割以上がLINE経由となっており、「行政DX」と「地域DX」の実現に貢献しています。また、電子申請の拡充が、LINE友だち数の増加や利用増加に関係しており、LINEを起点に行政と住民を近づける役割を担っていると言えます。
Q&A
Q1)電子申請フォームのサンプルや他自治体の事例はもらえるか?
A1)事例の提供は可能です。他自治体の申請をベースにしたいというご要望があれば、実際に運用中のフォームの構成をコピーすることができます。
Q2)デジタル田園都市国家構想交付金の申請について相談できるか?
A2)ご相談を承っております。
Q3)ユーザーが電子申請の申請フォームの途中保存をすることは可能か?
A3)申請フォームは途中保存が可能です。
Q4)管理画面はLGWANとインターネット回線両方使えるのか?
A4)電子申請に関してはLGWANのみの対応で、インターネット回線からは使えません。
次回イベントの参加にご興味ある方は、スマート公共ラボLINE公式アカウントにご登録いただき、新着情報をお待ちください。

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