
6月30日にオンライン開催した、自治体向けDXサービス「スマート公共ラボシリーズ」の新サービス「スマート公共ラボ デジタル通知」のオンライン説明会の内容のレポート記事になります。
本説明会では、新たに提供を開始する「デジタル通知」のコンセプトや開発背景をはじめ、システムの特徴や利用イメージ、自治体での活用方法について詳しく解説しました。
目次
民間企業のCRMを行政へ。「住民コミュニケーション」の新しいステージ

「スマート公共ラボ デジタル通知」を開発した背景として、これまで行政から住民への情報発信は、広報紙やホームページなど、不特定多数へ一斉に届ける方法が中心でした。
しかし近年は、LINEやメールによるセグメント配信、オンライン申請、書かない窓口など、デジタルを活用した住民サービスが広がっています。
弊社では、この変化を「住民コミュニケーションステージ」として整理しています。
フェーズ0では、広報紙による一斉周知と窓口での対応が中心でした。
フェーズ1.0では、LINEやメールによる情報発信、「書かない窓口」「行かない窓口」などが普及し始めています。
そして今後は、フェーズ2.0として「住民一人ひとりに最適な情報を届けるCRM」の考え方が自治体にも広がっていくと考えています。
現在は電子申請や施設予約など、「住民が手続きを行うための仕組み」は徐々に整備されつつあります。一方で、
「その制度を必要としている住民へ、適切なタイミングで知らせる仕組み」
はまだ十分に整備されていない自治体も少なくありません。
今回紹介した「スマート公共ラボ デジタル通知」は、この”届ける”部分を担うサービスとして開発されたものです。
自治体が抱える4つの課題

続いて、自治体が抱える課題について整理しました。
住民成果の可視化
行政ではさまざまな制度や事業を実施していますが、
- 受診率が向上したのか
- 手続き率が改善したのか
- 納付率が上がったのか
といった成果を把握しにくいという課題があります。
単に通知を送るだけではなく、「住民が実際に行動したか」まで確認できることが重要だと考えています。
行政コストの削減
郵送による通知は、
- 印刷
- 封入
- 郵送費
など、多くのコストが発生します。
デジタル通知によって郵送対象を減らすことで、行政コストの削減にもつながります。
行政DXの推進
電子申請やオンライン予約などの仕組みを導入しても、住民が制度自体を知らなければ利用にはつながりません。
制度の案内から申請までをデジタルでつなぐことで、行政DXをさらに推進できるようになります。
住民サービスの向上
システムを導入しても、
「使いにくい」
「途中で離脱してしまう」
といった課題があれば利用率は向上しません。
住民が迷わず利用できる操作性を実現することが重要になると考えています。
住民側にも存在する3つの課題

続いて、住民側の課題についても整理しました。
必要な情報が届かない
自治体からさまざまな情報が発信されていても、
- 見逃してしまう
- 情報が多く必要な情報に気付けない
- 自分が対象か分からない
といったケースがあります。
そこで、住民ごとに必要な制度を適切なタイミングで通知することが重要になります。
手続きが面倒
行政サービスでは、
- 会員登録
- ID・パスワード管理
- 住所や氏名の入力
など、多くの入力作業が発生するケースがあります。
こうした負担が大きいと、「あとでやろう」と思ったまま利用されないことも少なくありません。
「スマート公共ラボ デジタル通知」では、通知から申請・予約までLINE上で完結できる仕組みとし、利用登録もできるだけ簡単にすることで、住民の負担軽減を目指しています。
制度を知らず利用機会を逃してしまう
本来利用できる制度があっても、
「知らなかった」
という理由だけで利用されないケースもあります。
また、問い合わせをしたくても開庁時間しか対応できないなどの課題もあります。
そのため、
「必要な人に必要な制度を届けること」
そのものが行政サービスの価値向上につながります。
「使われるシステム」にするための4つの工夫

スマート公共ラボが大事にしている1つとして、
「システムは導入されることではなく、使われることに価値がある」
そのため、「スマート公共ラボ デジタル通知」では住民が利用しやすいよう、さまざまな工夫を盛り込んでいます。
まず、利用登録時にはLINE以外のアプリを必要としません。
LINEログインを利用するため、新たにメールアドレスやパスワードを設定する必要がなく、ID・パスワードを忘れてしまうといった課題も解消できます。
さらに、LINEのトーク画面は時間が経つと過去の通知を探しにくくなりますが、本サービスでは通知専用の「マイページ」を用意しており、過去のお知らせを一覧で確認できます。
また、電子申請ではマイナンバーカードから取得した基本5情報を利用することで、住所や氏名などの入力を省略できます。
通知を受け取ったその場で、スムーズに申請まで進めることを意識した設計になっています。
利用登録から通知、手続きまで。「スマート公共ラボ デジタル通知」の利用イメージ

本サービスでは、住民がマイナンバーカードを利用して初回登録を行うことで、一人ひとりに適した行政情報をLINEで受け取れるようになります。
通知を受け取るだけでなく、通知内容は専用の「マイページ」に蓄積され、過去のお知らせも一覧で確認できます。LINEのトーク画面では過去の通知が流れてしまい、後から探しにくいという課題がありますが、マイページを用意することで、必要な情報へいつでもアクセスできるようにしています。
また、管理画面では住民ごとの通知状況を確認できるため、誰に通知が届き、開封されたかを把握できる点も特徴の1つです。
LINEだけで完結する利用登録

実際の利用登録の流れについてデモを交えながら紹介しました。
住民はLINEから利用登録を開始し、利用規約への同意後、登録フォームへ進みます。
この際、住所や氏名などの基本情報は、後ほどマイナンバーカードを読み取ることで自動入力されるため、住民自身が入力する項目は電話番号程度に抑えられています。
登録の最後にマイナンバーカードを読み取ることで本人確認が完了し、利用登録が完了します。
メールアドレスの登録やパスワードの作成は不要で、LINEログインを利用するため、一般的なWebサービスのようにID・パスワードを管理する必要もありません。
利用開始までの手順をできる限り少なくすることで、住民が迷わず登録できる仕組みを目指しています。
LINE上で完結する公的個人認証

説明会では、LINE上で公的個人認証を行う様子も動画で紹介しました。
デモでは、LINEのメニューから電子申請を選択し、申請フォームへ進んだあと、公的個人認証を実施する流れを紹介しました。
認証時にはマイナンバーカードを読み取り、署名用パスワードを入力することで本人確認が完了します。
取得した基本情報は申請フォームへ自動反映されるため、住民が毎回住所や氏名などを入力する必要はありません。
一般的な公的個人認証では、認証アプリのインストールやアプリ間の切り替えが必要になるケースがありますが、本サービスではLINE上で認証まで完結するため、手続きの途中で離脱しにくい利用体験を実現しています。
通知は「送る」だけでなく、「見返せる」

住民へ配信された通知は、通常どおりLINEにも届きます。
通知には制度の案内だけでなく、予約ページや電子申請ページへのリンクを設定できるほか、会場案内やスケジュールなどの資料を添付することも可能です。
さらに、本サービスでは通知内容を「マイページ」に一覧表示します。
マイページでは、住民ごとに配信された通知がリスト化され、既読・未読の状態も確認できます。
目的の通知を探すためにLINEのトーク履歴を遡る必要がなく、必要なタイミングで内容を確認できる点は、本サービスならではの特徴です。
通知を開くと詳細画面が表示され、そのまま電子申請や予約へ進めるため、「通知を受け取って終わり」ではなく、次の行動へ自然につながる導線が設計されています。
管理画面では通知状況を可視化

管理画面では、通知ごとの既読数、未読数、対応完了数がグラフで表示され、通知開始から日ごとの推移を確認できます。
また、対象者ごとの一覧画面では、
- 通知日時
- 開封日時
- 既読状況
- 手続きの対応状況
などを確認できます。
未読の住民に対しては、一定期間経過後にリマインド通知を送る設定も可能となっており、制度の利用促進を支援する仕組みも備えています。
検索機能も搭載されているため、対象者を絞り込みながら状況を確認できる運用を想定しています。
単に通知を配信するだけではなく、その後の反応や手続き状況まで把握できることが、本サービスの大きな特徴です。
対象者を判定し、デジタル通知と郵送を使い分ける仕組み
「スマート公共ラボ デジタル通知」では、自治体が保有する制度対象者の情報と、サービス利用者の情報を照合し、通知方法を自動で振り分けます。
運用時は、自治体側で制度対象者のデータをCSV形式で出力し、管理画面へアップロードします。
アップロードしたデータは、氏名(カタカナ)、生年月日、住所などをもとにシステム上で照合が行われ、デジタル通知を利用している住民にはLINEで通知が配信されます。
一方、利用登録をしていない住民については郵送対象として判定されるため、デジタル通知だけではなく従来の郵送業務も含めて運用できる設計となっています。
デジタル化を進めながらも、利用登録していない住民を取り残さないことを前提とした運用が想定されている点も特徴の一つです。
「スマート公共ラボ 電子申請」や「スマート公共ラボ 施設予約」などと連携し、通知から手続きまでをスムーズに

通知を受け取った住民は、そのままス「マート公共ラボ 電子申請」や「スマート公共ラボ 施設予約」へ進むことができます。
「スマート公共ラボ 電子申請」や「スマート公共ラボ 施設予約」と連携した場合は、利用登録時に取得した基本情報が自動で反映されるため、住所や氏名などを再入力する必要がありません。
制度の案内を受け取った直後に、そのまま申請や予約まで進めるため、入力の手間を減らしながら手続きを完了できる導線となっています。
また、他社の電子申請サービスを利用している自治体でも、通知から外部サービスへリンクすることが可能です。
その場合は基本情報の自動入力には対応しませんが、既存システムを活用しながら「スマート公共ラボ デジタル通知」を導入できる柔軟な構成となっています。
さらに、スマート公共ラボ 電子申請や施設予約を利用した場合は、通知を開封したかどうかだけではなく、その後に手続きが完了したかどうかまで管理画面上で確認できます。
通知の配信状況だけではなく、「制度の利用につながったか」という視点で効果を把握できることも、本サービスの特徴として紹介されました。
通知作成から対象者管理まで、管理画面で一元管理

管理画面では、通知の作成や配信設定も行えます。
担当職員は、通知本文の作成や添付ファイルの登録、対象者データのアップロード、配信期間の設定などを一つの画面から操作できます。
対象者リストを更新した際には、前回データとの差分も自動で表示されます。

新たに対象となった住民や、対象外となった住民を一覧で確認できるため、更新内容を把握しながら運用を進めることができます。
また、デジタル通知を利用していない対象者については、郵送対象者として一覧化されます。
そのまま送付状を一括印刷できる機能も備えており、デジタル通知と郵送を組み合わせた運用にも配慮しています。
セキュリティ対策と運用面にも配慮

管理画面はLGWAN経由での利用を前提として提供され、LGWAN-ASPの利用料もサービスに含まれています。インターネット環境で利用する場合は、アクセス元のIPアドレスを制限することで、安全性を確保する運用を想定しています。
クラウド基盤にはAmazon Web Services(AWS)の東京リージョンを採用し、保存されるデータは暗号化した状態で管理されています。また、LINEアプリとの通信も暗号化されており、フォームに入力された情報はLINEヤフー社側には保存されず、AWS上で管理される仕組みです。
Q&A
Q:LINEのインストールは必要ですか?
「スマート公共ラボ デジタル通知」はLINE上で提供するサービスのため、利用にはLINEアプリのインストールが必要です。
Q:マイナンバーカードから読み取った情報はどこに保存されますか?
利用登録時に取得した基本情報はAWS上に保存されます。
保存されるのは氏名や住所などの基本情報であり、マイナンバー(個人番号)そのものを保存することはありません。
Q:公共サービスメッシュとの連携予定はありますか?
現時点では公共サービスメッシュとの連携予定はありません。
まずは現在のサービス構成で提供を開始し、今後の動向も踏まえながら検討していきます。
Q:電子署名への対応予定はありますか?
本人確認を伴う電子申請には対応していますが、自治体側が発行する文書への電子署名などについては、現時点では対応時期は未定です。
Q:他システムとの連携には特別な要件がありますか?
電子申請システムや予約システムについては、URLを設定することで外部サービスとの連携が可能です。
そのため、大きなシステム改修を伴わずに利用できるケースもあります。
Q:外字などで住民情報が一致しない場合はどうなりますか?
氏名や住所については可能な限り正規化して照合を行いますが、外字などの影響で一致しない場合も想定されています。
その際は類似する候補を管理画面に表示し、職員が内容を確認した上で、デジタル通知の対象とするか、郵送対応とするかを判断できる仕組みとなっています。
おわりに
今回の説明会では、「住民一人ひとりに必要な情報を、必要なタイミングで届ける」という考え方を軸に、新サービス「スマート公共ラボ デジタル通知」を紹介しました。
電子申請や施設予約など、行政手続きのオンライン化は全国で進んでいます。一方で、制度を必要とする住民へ適切に情報を届け、利用につなげる仕組みは、今後さらに重要になるテーマと考えられます。
「スマート公共ラボ デジタル通知」は、LINEを活用した通知機能に加え、「スマート公共ラボ 電子申請」や「スマート公共ラボ 施設予約」との連携、住民ごとの通知管理などを組み合わせることで、行政サービスの利用促進を支援する新たな選択肢として開発されました。
プレイネクストラボでは、今後も自治体の業務効率化と住民サービスの向上につながるサービスの開発・提供を進めてまいります。
住民にとって利用しやすく、職員にとって運用しやすい自治体DXを実現したい自治体様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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