第9日目「LINEを活用して1秒もムダにしない」
一刻を争う災害時に、LINE GovTechプログラムは、どのように活用されているのでしょうか。今回の課外授業 第9日目では、災害時の緊迫した住民の様子をシミュレートし、時系列のストーリーでお伝えいたしましょう。
家族のいる会社員の行動を通して、自治体から届くメッセージ配信機能など、LINE GovTechプログラムの活用例をご紹介します。災害時にどのようにして、自治体のLINE公式アカウントから情報を得て、状況を判断し、避難することができるのか。会社員は緊迫した状況で、スマートフォンを片手に、家族を守るための行動をします。
では、実際に一日を共にすごすような心持ちで、ご覧ください。
8月某日 7:30
朝、いつもの時間の電車に乗り、出勤中。今夜は強い雨が降るという予報を、朝のニュース番組で知った。念のため、自治体のLINE公式アカウントから、自宅近くの避難所を検索しておく。メニューがアイコン(※)になっているので迷わずに、サクサクッと検索でき、混雑している電車内でも必要な情報を手軽に知ることができた。
※「リッチメニュー」でスピーディな検索
自治体のLINE公式アカウントには、視覚的にわかりやすいメニュー表示がされています。「リッチメニュー」と呼ばれているのですが、自治体によって、デザインやメニュー内容が異なります。自治体ごとに使いやすくカスタマイズをし、住民が便利に感じていただけるように工夫しているのです。災害や防災に関するメニューもすぐに見つけることができ、必要な情報を迅速に得られます。
8月某日 13:23
仕事中、自治体からメッセージがLINEに届く。大雨に対する注意喚起だった。防災無線や防災メルマガと同じ内容がLINEにも届く(※)ので、重要な情報を見逃してしまう心配がない。妻からもLINEにメッセージが届き、「娘の通っている小学校で、今夜の大雨に備えて下校時刻を繰り上げたので、もう娘は帰宅して家にいる」とのこと。今日は仕事を早めに切り上げて、いそいで帰宅したほうがよさそうだ。
※「連携機能」で重要な情報を見逃さない
LINE GovTechプログラムは、従来より活用している防災無線や防災メルマガなどと連携できます。防災無線などで発信された内容を、自動的にLINEでもメッセージ配信可能なため、住民が情報を得られやすくなります。最近ではLアラートなどにも連携できるようになり、防災・災害に関する情報発信力がさらに高まりました。
8月某日 15:47
ふと気になって、自治体のLINE公式アカウントを開くと、いつもと違った表示(※)になっていた。災害に関するメニューがメインで表示されていて、避難所検索やハザードマップなど、災害時に必要な項目を見つけやすい。今回、このような表示に初めて気づいたのだが、とても頼もしく感じる。
※「災害時モード」で1秒もムダにしない
災害時に自治体のLINE公式アカウントを開いてみると、いつもと違った表示に気づくはず。緊急時の重要な情報に特化した「災害時モード」のメニュー表示に切り替わることで、災害に備えるための情報収集のサポートや、緊迫した状況であることを住民に伝えるなどの役割があります。1秒もムダにせず、必要な情報にアクセスしたいという、住民の行動や気持ちに寄り添います。
8月某日 16:10
会社から、帰宅指示が出た。家に向かう電車に乗っていると、自治体から「今夜予想されている大雨には、かなりの警戒が必要」というメッセージ配信があった。今住んでいる地域の情報のみ届く(※)ので、大量の情報で混乱してしまうことがなく、状況を把握しやすいので助かる。
※「セグメント配信」で必要な情報のみ届く
居住地などを設定し、特定の住民に情報を届けられる「セグメント配信機能」は、災害時にも効果を発揮します。大雨や地震が発生すると、気持ちが動揺してしまい、正しい情報を取捨選択することが困難になってしまうことも。そのような緊急時においても、セグメント配信で必要な情報のみ届くので、最新の状況を手軽に知ることができます。的確な状況判断と、素早い避難行動をサポートし、住民の命を守ります。
8月某日 17:37
家族みんなで早めの夕食を済ませて、テレビのニュース番組を観ていると、突然停電になった。大雨による影響かもしれない。だんだんと雨脚が強くなっていく。娘がおびえているようで、妻の服をつかんでいる。停電でテレビを観ることはできないが、LINEに自治体からメッセージ配信されるので、最新の状況を把握できている。
8月某日 17:52
「避難所を開設した」というメッセージが届く。しかし、我々は本当に避難すべきなのだろうか。もしかすると雨はそこまで強くならないかもしれない。などと、正常バイアスのせいで危機感が緩み始めていた頃、「近くに流れる川の水位が増して氾濫するおそれがある」という警報が届く。太陽が沈んで、足元が見えにくくなる前に、早めに避難する必要がありそうだ。自治体のLINE公式アカウントから避難所の位置を確認して、スマホの地図を見ながら避難(※)することにした。
※現在地から避難所まで的確に誘導する
スマートフォンのGPSを活用して、現在地の位置情報から、最寄りの避難所を検索できます。避難所までの経路を地図アプリで表示でき、迅速かつ的確な避難行動をサポートします。また、災害時だけでなく、普段から避難所を検索しておくことで、いざというときの避難行動がとりやすくなります。
8月某日 18:15
無事、避難所に到着する。ほかにも家族や高齢者の方なども、避難所に到着し始めているようだ。娘も少しホッとしたような表情になった。
8月某日 19:05
両親はここから離れた地域に住んでいるのだが、LINEに届く情報によれば、雨はさほど降っていないらしく、まだ避難の必要はなさそうだ。両親が住んでいる地域の自治体LINE公式アカウントにも、友だち登録(※)してあるので、遠くの状況もメッセージ配信され、リアルタイムで把握できる。両親に電話してみたところ、やはり大丈夫とのこと。ひとまず私たち家族も避難所に移動できたこともあり、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
※遠くの家族も「友だち登録」で安心
居住地に住む住民だけでなく、遠く離れている家族も、自治体のLINE公式アカウントに友だち登録できます。普段から遠くにいる家族に関する災害・防災情報を受信でき、ハザードマップなどで危険な箇所も確認できます。また、災害時にリアルタイムで最新情報が届くので、遠く離れている家族の状況を把握しやすく、的確なアドバイスや行動を促すことも可能です。
8月某日 2:08
長い夜になったが、自治体から届くメッセージのおかげで、防災グッズなどを用意することができ、比較的快適にすごしていた。娘もようやく安心したのか、妻に寄りかかるようにして眠っている。明け方が近づくにつれて、雨の音は弱まっていった。
8月某日 5:06
自治体のLINE公式アカウントに「すべての警報が解除された」ことを知らせるメッセージが届く。避難所にいるほかの住民たちも、ゆっくりと立ち上がり、帰宅する準備をし始めた。私たちも自宅に帰ることにしよう。外へ出てみると、太陽が昇り始めていて、朝の清々しい空気に満ちあふれていた。思わず深呼吸をしながら、青空に向かって、家族の無事を感謝した。
※ ※ ※
LINE GovTechプログラムが災害時にも、住民の安全安心を力強くサポートしている様子が、伝わったでしょうか。災害に関する情報をLINEで知り、最新の状況を的確に判断して、避難所へ移動するまで、常に住民のそばに寄り添っていました。
もちろん実際には、自分の目で周囲を確認し、危険な箇所に近寄らないようにして避難するなど、さまざまな注意も必要です。そのような1秒を争うような緊急時において、必要な情報のみが「セグメント配信」で届くことは、大きな安心に繋がるはず。ほかにも、必要な情報を調べやすくなる「災害時モード」など、LINEを活用した機能が、住民の安全安心を支えています。
なんでもない日にこそ、いざというときのために、備えが必要です。LINE GovTechプログラムは、住民だけでなく自治体の職員にとっても、安心感を得られる新しい情報配信ツールとして活躍しています。その利便性が口コミで広がり、友だち登録する住民が増え続けており、現在も導入を検討している自治体も多く存在しています。