
山形県大江町では、住民サービスの向上と行政DXの推進に向けて、行政手続きのオンライン化を進めています。
その取り組みの一つとして、LINE公式アカウントを活用した電子申請サービスを導入し、住民票や戸籍証明書、税証明書などの各種証明書をスマートフォンから申請できる環境を整備しました。
住民にとって身近なLINEを行政窓口として活用することで、証明書発行の利便性向上と行政事務の効率化を目指しています。
本記事では、大江町が進めるLINE電子申請の取り組みをご紹介します。
目次
行政手続きをもっと便利に
近年、多くの自治体で行政手続きのオンライン化が進められています。
大江町でも、住民サービスの向上と行政事務の効率化を目的に、デジタル技術を活用した行政サービスの充実に取り組んでいます。
その中でも、各種証明書の発行は住民の利用機会が多い手続きの一つです。
これまでは窓口へ来庁して申請することが一般的でしたが、住民が時間や場所を選ばず申請できる環境を整えるため、LINEを活用した電子申請サービスを開始しました。
LINEを活用した電子申請サービス
大江町では、行政手続きのオンライン化を進める中で、LINE公式アカウントを活用した電子申請サービスを導入しています。
証明書発行は本人確認や手数料の支払いが必要となる手続きですが、LINE上で本人確認から決済まで完結できるため、自宅などから手続きを行うことができます。
また、LINEは多くの住民が日常的に利用しているアプリであり、新たな専用アプリをダウンロードする必要がありません。
行政サービスを利用する際のハードルを下げながら、住民にとって利用しやすい窓口を実現しています。
さらに、LINEは電子申請だけでなく、行政情報の発信や各種サービスへの入口としても活用できるため、住民との接点を一つのプラットフォームに集約できることも大きな特徴です。
■大江町LINE公式アカウントのリッチメニュー

「申請・予約」から電子申請メニューに進むことができる

子育て関連のコンテンツが揃っている

観光、広報、移住・定住、イベント、ふるさと納税などのコンテンツが揃っている
大江町LINE公式アカウントで申請できる証明書
現在、大江町LINE公式アカウントから次の証明書を申請できます。
戸籍・住民関係
- 独身証明書
- 戸籍証明書
- 身分証明書
税・資産関係
- 所得証明書
- 納税証明書
- 軽自動車税納税証明書
- 固定資産評価証明書
- 資産証明書
- 公簿・公図の閲覧
- 土地家屋課税台帳兼名寄せの写し
住民はLINEから必要な証明書を選択し、案内に沿って申請を進めることができます。
これまで窓口で行っていた手続きをスマートフォンから行えるため、来庁の負担軽減にもつながります。


他アプリのインストールは不要で、マイナンバーカードによる本人確認、支払いまでLINEで完結
証明書発行では本人確認が重要になります。
スマート公共ラボ 電子申請では、LINEでマイナンバーカードを活用したオンライン本人確認に対応しており、安全に各種証明書を申請することができます。
マイナンバーカードの読み取りの際に、他のアプリのインストールは不要で、LINEから離れることなく申請手続きが完了します。
また、支払いについてもLINEでオンライン決済ができるため、申請後は来庁することなく、証明書を郵送で受け取ることができます。
申請完了までの流れのサンプル:申請入力>マイナンバーカードの読み取り>オンライン決済完了


LINEを活用するメリット
電子申請サービスを利用してもらうためには、「住民が使いやすいこと」が重要になります。
その点、LINEは幅広い世代に利用されているコミュニケーションツールであり、多くの住民にとって身近な存在です。
新しいサービスを利用するために専用アプリをインストールしたり、新たな操作方法を覚えたりする必要が少ないことから、行政サービスの窓口としても活用しやすい特徴があります。
また、
- 行政情報の配信
- 防災情報の発信
- 各種行政サービスへの案内
- 電子申請
を一つの窓口で提供できるため、住民との継続的な接点づくりにもつながります。
DX推進計画が目指す住民サービス向上
大江町ではDX推進計画において、「住民サービスの向上」と「行政事務の効率化」を基本的な考え方として掲げています。
行政手続きのオンライン化も、その実現に向けた重要な取り組みの一つです。
今回導入したLINE電子申請では、利用頻度の高い証明書発行をオンライン化することで、住民の利便性向上と窓口業務の効率化を支えています。
また、住民が必要な行政サービスを利用しやすい形で提供することは、行政DXを進めるうえでも重要なテーマです。
今後も住民ニーズに応じた行政サービスの充実を図りながら、デジタル技術を活用した住民サービスの向上が期待されます。
LGWAN対応の管理画面
スマート公共ラボでは、電子申請の受付状況を管理画面で一元管理できます。
管理画面では、
- 申請一覧の確認
- 処理状況の管理
- 検索機能
- CSV出力
などを利用できます。
申請書の作成の際は、プレビューを見ながら作成ができるため誤字脱字などの確認がしやすくなっています。
受付情報がデータとして管理されることで、職員の事務処理の効率化や、申請状況の把握がしやすくなります。
複数の証明書申請を一つの画面で管理できるため、日々の窓口業務を支える仕組みとして活用されています。



大江町ご担当者様インタビュー
Q1. LINE電子申請を導入した背景を教えてください。
大江町では、住民の皆様の利便性向上と行政DXの推進を目的として、LINE電子申請を導入いたしました。
導入にあたり注目したのが、日常生活に広く普及しているLINEの活用です。本町の調査では、町民の約7割がスマートフォンをお持ちであることが確認されており、その多くの方がLINEを日常的にご利用されています。
新たなアプリのインストールや操作方法を覚える必要がなく、使い慣れたLINEをそのまま活用できることから、デジタルに不慣れな高齢の方にも抵抗なくお使いいただけると判断いたしました。
スマートフォンからの電子申請環境を整えることで、LINEのさらなる有効活用を図るとともに、役場への来庁が難しい方でも、いつでもどこでも手続きができる環境づくりを目指しております。
Q2. 証明書発行から電子申請を開始した理由を教えてください。
電子申請の第一歩として証明書発行を選んだ理由は、主に以下の3点です。
まず1点目は、キャッシュレスでの手続き完結が可能であることです。証明書の発行には手数料が必要となりますが、電子申請では役場に出向くことなく、スマートフォンからそのままお支払いいただける環境を整えることができます。住民の皆様の来庁負担を軽減しつつ、利便性の高いサービスを提供できる点が、証明書発行を選んだ大きな理由の一つです。
次に2点目は、導入に向けた検討・調整がスムーズに行えることです。証明書発行の窓口は1課に集約されているため、庁内での調整範囲が限られ、制度設計や運用ルールの整備を円滑に進めることができました。複数の部署にまたがる手続きと比べ、迅速かつ確実に導入を進められる環境が整っていました。
そして3点目は、スモールスタートとして適切な規模であることです。証明書発行の申請件数は比較的少ないと見込まれることから、システムの運用状況や住民の皆様の利用状況を丁寧に確認しながら、着実にサービスを展開していくことができます。まずは小さく始め、課題を検証しながら対象手続きを拡大していく方針のもと、証明書発行をその第一歩と位置づけました。
これらの理由から、証明書発行を電子申請の出発点として選択し、段階的なDX推進を図ることといたしました。
Q3. 庁内で導入を進める際に苦労した点は?
LINE電子申請の庁内導入を進めるにあたり、主に3つの点で苦労いたしました。
1点目は、設定シートへの業務内容の記入です。電子申請のシステムは、完成した状態をあらかじめイメージしにくく、最終的にどのような画面・フローになるのかが不透明な中で、該当業務の内容を設定シートに落とし込む作業が必要でした。完成系を想像しながら要件を整理する作業は担当職員にとって難易度が高く、試行錯誤を重ねながら進めることとなりました。
2点目は、公的個人認証および決済サービスへの申込手続きです。電子申請においては、本人確認のための公的個人認証サービスへの接続や、キャッシュレス決済に対応するための決済サービスへの申込みが必要となります。それぞれに申請手続きが伴い、関係機関とのやり取りや書類準備など、手続きが煩雑で一定の時間と労力を要しました。
3点目は、郵券料と手数料を分けた収納事務の整理です。電子申請では、証明書を郵送する際の郵券料と、証明書発行に係る手数料をそれぞれ別に収納する必要があります。この事務処理の仕組みをどのように構築・運用するかについて、庁内での手続きの整理や関係部署との調整に苦慮いたしました。
これらの課題に一つひとつ対応しながら、導入に向けた準備を着実に進めてまいりました。
Q4. 導入後、職員の意識に変化や、業務への影響について教えてください。
まず、住民サービスの面での変化についてです。電子申請の運用を開始したことで、町外にお住まいの方や遠方にお住まいの方にとって大変便利になりました。これまで遠方からの郵送請求の場合には、定額小為替と返信用封筒をご自身でご準備いただく手間が必要でしたが、電子申請ではそういった準備が一切不要となり、スマートフォンから手軽に手続きが完結できるようになりました。
窓口に問い合わせがあった際には、担当職員が自ら「LINEの電子申請が便利ですよ」と利用を積極的に案内するようになりました。
次に、職員の意識の変化についてです。導入前は、業務担当者を中心に、新しいシステムへの不安や、業務量が増えるのではないかという不満の声もございました。しかしながら、実際に運用を始めて業務に慣れていくにつれ、当初の不安や抵抗感は徐々に解消されてきております。
Q5. 今後、LINEや電子申請サービスをどのように発展させていきたいと考えていますか。
今後のLINEおよび電子申請サービスの発展について、現在以下のように考えております。
まず、電子申請の対象手続きの拡充についてです。現在、証明書発行からスタートした電子申請を、次のステップとして水道の開閉栓申請への拡大を検討しております。
水道の開閉栓手続きは、転入・転出の時期に件数が集中するなど、比較的申請数が多い手続きの一つです。現状では手数料の納付が担当窓口のみでの対応となっており、住民の皆様にとって来庁の手間が生じている状況です。電子申請を導入することで、窓口に出向くことなくスマートフォンから手続きが完結できるようになり、住民の皆様の利便性が大きく向上するものと考えております。
次に、LINEを住民サービスの中心的なツールへと育てていくことについてです。現在のLINE登録者数をさらに増やし、電子申請にとどまらず、町からのお知らせや各種情報発信など、住民の皆様の日常生活に密着したサービスを幅広く提供できるプラットフォームへと発展させていきたいと考えております。住民の皆様が必要な情報や手続きをLINE一つで完結できる環境を整えることで、大江町のデジタル住民サービスの充実を図っていきたいです。
まとめ
山形県大江町では、LINE公式アカウントを活用した電子申請サービスにより、各種証明書のオンライン申請を実現しています。
今回対応している手続きは、
- 独身証明書
- 戸籍証明書
- 身分証明書
- 所得証明書
- 納税証明書
- 軽自動車税納税証明書
- 固定資産評価証明書
- 資産証明書
- 公簿・公図の閲覧
- 土地家屋課税台帳兼名寄せの写し
など、住民の利用ニーズが高い証明書発行が中心です。
住民にとって身近なLINEを活用することで、申請から本人確認、決済までをオンラインで完結できる環境を整備し、住民サービスの向上と行政事務の効率化を進めています。
行政DXは新しいシステムを導入することだけが目的ではなく、住民が「使いやすい」と感じる行政サービスを提供することが重要です。大江町の取り組みは、LINEという身近なツールを活用しながら、行政手続きをより便利にする一つの事例といえるでしょう。
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