【宮崎県 都農町】情報発信での着実なLINE活用の推進と「スマート公共ラボ 電子申請」への期待

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スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
左:(一財)つの未来まちづくり推進機構 原島裕志さん、
右:都農町総務課行政DX係兼電算係 又川俊さん

2022年11月、都農町はLINE公式アカウントをリニューアル、「LINE GovTechプログラム」を導入しました。さらに2023年5月からは「スマート公共ラボ 電子申請」により、イニシャルとランニングの双方の費用を抑えながら、都農町の町民の皆さんにも浸透しているLINEを使った電子申請を実現しました。データ連携基盤の整備やタブレット端末の住民への無償貸与等にも取組む都農町。LINEを活用した取組みの背景にはどんなストーリーがあったのでしょうか。現場職員の生の声を通じて、都農町の取組みに迫ります。

スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
宮崎県都農町
LINE公式アカウント


住民の属性に応じて
情報伝達を最適化したい


―まず、所属されている部署についてご紹介いただけますか?

又川さん:私が所属している部署は、行政DX係と電算係が合わさった組織で、令和5年度の4月に新設されました。以前は財政課の財政情報係に情報部門が含まれていましたが、それを独立させるかたちで総務課に行政DX係と電算係を設けました。現在の係員は4名です(うち1名は育児休暇中)。私たちの業務は、庁内のパソコンやネットワーク、各種システムの運用管理から始まり、行政DXの取組みに位置付けられる情報システムの標準化や共通化、オンライン行政手続きの推進などを担当しています。また、令和4年度から庁内の各課を横断してDX推進委員を結成し、庁内のデジタル人材の育成にも取り組んでいます。これらの取組みは、係の職員に加え、隣におります原島が所属している、一般財団法人つの未来まちづくり推進機構と連携しながら進めています。


―「LINE GovTechプログラム」の導入前に、都農町として抱えていた課題や問題点はありましたか?

原島さん:従来は2週間に1回、自治会加入世帯に配布される広報紙が、町から町民の皆さんへの主な情報伝達手段でした。町のホームページも運用していますが、町民の皆さんからすると、自治体のホームページは日常的に閲覧するものではないので、プッシュ型の情報伝達手段を用意する必要性を感じていました。

プッシュ型という意味では、防災行政無線も各世帯に戸別受信機を貸与して、運用していますが、災害発生時の緊急放送を始め、重要度の高い情報に絞る必要があり、大小様々存在する町からのお知らせを、町民の皆さんがストレスを感じることなく受け取れる手段が必要と考えていました。


―では、「LINE GovTechプログラム」の導入を決定した理由を教えていただけますか?

原島さん:都農町では令和3年度にデータ連携基盤を導入し、町のホームページとしても運用しています。基盤にも登録されているメールアドレス等へのプッシュ配信機能がありますが、ホームページの記事の公開等の運用は各原課で行なっているため、それだけを頼りにしてしまうと、町民の皆さんへのプッシュ配信が乱発してしまう懸念がありました。

ホームページとは別途、町民の皆さんにプッシュ配信を行なえる手段を検討する中で、「LINE GovTechプログラム」の存在を知り、問合せさせていただきました。LINEは広く日常生活の中に溶け込んでいるコミュニケーションツールで、町民の皆さんにとってもわかりやすいだろうということは、安心できる大きなポイントでした。チャットボットや帳票の作成を一般職員自らで行なえる運用の手軽さも魅力でした。また、既に多くの自治体での運用実績があり、参考にできる事例が多かったのも安心材料でした。


「ごみ分別・リマインド配信」「ごみの分別案内」
の機能が住民に好評


―構築作業はスムーズに進みましたか?特に順調だった点や難しかった点はありますか?

原島さん:LINE公式アカウントとの接続を行なうにあたり、データ連携基盤を間に挟む必要があったため、エンジニアの皆様にはお手間をおかけしましたが、無事に完了して良かったです。構築作業は慣れるまでは大変に感じましたが、慣れてしまえば、ゲーム感覚で楽しかったです。


―いよいよ導入後、実際に運用されてみて、これまでに抱えていた課題や問題点は解決されましたか?

原島さん:「受信設定」に基づく細かなセグメント配信が可能になり、細かなプッシュ配信が可能になりました。例えば、都農町のごみ収集は44ある地区ごとに収集品目と曜日が異なりますが、セグメント配信の機能で、前日18時に翌日の収集のお知らせを地区ごとに配信できるようになりました。うっかりごみを出し忘れると、次の収集は品目によっては1週間後になるので「ごみの出し忘れがなくなって良かった」という嬉しいお声はいただいています。

スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
受信設定からごみのリマインド配信を設定

また、チャットボットの機能を活用したごみの分別案内も、ごみを捨てようとするときにさっと調べられるものとしてご好評いただいており、正しいごみ分別・回収に一役買っていると認識しています。

スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
ごみの品目ごとに、ごみの分別を案内

使い慣れているLINEで
スムーズな行政手続き


―ところで、都農町では希望するすべての世帯にタブレット無償配布や、スマホ教室の開催をされていますが、「LINE GovTechプログラム」に関する影響等はありましたか?

原島さん:都農町では、デジタルデバイド対策の一環として、令和3年度から希望するすべての世帯を対象にタブレット端末を無償貸与しています。町内にはケータイのキャリアショップが1店舗もない状況を鑑み、44ある地区を巡回してタブレットやスマートフォン端末の操作方法をお伝えしたり、困り事の相談を受け付けたりする講習会を行なっています。その講習会の中で「GovTechプログラム」で提供している機能も紹介しています。防災行政無線の放送内容を配信する取り組みと合わせ、ご好評いただいており、町民の皆さんの利用は導入から1年半程度経過した現在も増え続けています。


―チャットボット機能では「ごみ分別・リマインド配信」「子育て」「コミュニティバス」に活用されているそうですが、住民の利用率や反応はいかがでしたか?

原島さん:ごみ収集のリマインド配信は登録者250名なので、まだまだ周知が必要だなと考えています。「子育て」「コミュニティバス」については、まだリンク集的な使い方しかできていないので、原課と相談しながら、利便性を向上させる使い方を検討していきたいと考えています。


―ほかにも「カレンダー」を使用して、がん検診の予約や説明会の予約の受付に活用されていますが、効果はいかがですか?

原島さん:都農町では通常、予約受付は窓口か、電話かのどちらかで、職員に問合せの度に対応の負担がかかっていました。まだ電話との併用なので効果は限定的ですが、一定の評価は得られています。町民の方からも大きな苦情は寄せられていないので、問題なく活用いただけているものと認識しています。

スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
がん検診等の予約をLINEで完結


バックヤード業務の
ペーパーレス推進にも貢献


―電子申請もスタートしましたね。住民票、税証明、独身証明書、身分証明書の取り扱いが始まっているとのことですが、手続きの簡易化や時間短縮の効果はいかがですか?

又川さん:現時点では、電子申請による申請件数は少なく、効果を実感するのはこれからと認識しています。電子申請第1号は、税務課が担当する税証明書の発行の申請でした。申請された方は町外在住で、遠隔地からの申請となりました。税務課の担当者も「以前から郵便で請求する方法もあるが、住民の皆さんに切手や封筒、手数料を納めるための小為替を用意するといった手間をおかけしていた。電子申請ではこのような手間が不要で、利用者の皆さんにとっては大きなメリットとなるのではないか」と話していました。

役場内の事務の業務効率化の観点では、料金の支払いが電子申請では自動計算の電子決済となり、金額等のミスのリスクも低減されます。このようなメリットによって、業務の効率化や省力化が期待されています。今後、電子申請の利便性をより多くの住民の皆さんに感じていただくために、サービスの周知に力を入れていく方針です。

スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
LINEで各種証明書申請が決済まで完了

―構築作業から現在の運用に至るまで、弊社のサポート体制にはどのような印象を持っていますか?

原島さん:構築時には些細な質問にも丁寧にご回答いただき、助かりました。今後の事業の拡大に合わせて、よりサポートを充実していただけることを期待しています。


申請業務の電子化を
着実に進めたい


―現在も利用者数が増え続けているとのことですが、LINE公式アカウントの「友だち登録」を増やすための施策などはされていますか?

原島さん:都農町では令和4年度補正予算デジタル田園都市国家構想交付金の「(通称)TYPE-X」の採択を受けた事業等、デジタルを活用した住民向けサービスの充実を進めています。全体的な取り組みの推進の中で、プッシュ配信のチャネルとしてLINEを活用することで、ユーザーの拡大を進め、「GovTechプログラム」によって実装されたチャットボット等の機能を、ユーザーのデジタル活用サポートに使っていきたいと考えています。


―今後ですが、通学費援助の申請も予定されているそうですね。

又川さん:先日、プレイネクストラボさんとWebで打ち合わせをした際、同様の利用方法を取り入れている他の自治体の事例をご紹介いただきました。庁内でも、高校生向けの就学応援金の申請について、担当課に電子申請への移行について相談したところ、前向きな姿勢で検討していきたいという返答がありました。ただ、現在の申請手続きには、申請者の押印や納税が正しく行われていることを示す、税の完納証明書の添付が必要です。電子化を進めるためには、申請ルールの見直しも併せて進める必要があります。

他にも、補助金や給付金の申請など、さまざまな手続きがあります。これらの申請業務についても、詳細に洗い出しを行ない、効率的な電子申請の運用を考えています。申請業務の電子化によって、業務効率を向上させる取り組みが進むことを期待しています。


―本日は貴重なお話しをありがとうございました。最後に、都農町の特色について教えてくださいますか?

又川さん:都農町は宮崎県のほぼ中央に位置しており、東に日向灘を臨み、西には尾鈴の山並みが連なっています。町の「山と滝とくだもののまち」というキャッチフレーズの通り、尾鈴の紅葉を楽しむもみじ狩り等のイベントが開催されています。また、地元で収穫された尾鈴産ブドウ100%を使った「都農ワイン」も町の誇りの一つです。このワインは国内外で高く評価され、多くのリピーターに支持されています。平成25年7月に開業した道の駅は、令和4年の11月現在で600万人を超える来場者が訪れています。休日には町内外から多くの人々が訪れ、隣接する「日向国一之宮都農神社」は、多くの人々が訪れるパワースポットとなっています。

このように観光地としての特徴を持つ一方で、自治体の施策としては子育て施策に力をいれ、県内でもいち早く保育料医療費無償化といった取り組みを進めてきました。その成果として若い世代の移住者も増えてきています。若い世代の移住・定住施策としても、デジタル技術を活用した施策を推進していくことが重要だと考えています。

スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
「都農神社」宮崎県で一番格式の高い「日向国一之宮」に位置付けられた神社。
スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
地元の獲れたての野菜や果物を購入したり、食事を楽しむことができる「道の駅つの」
スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。
地元産100%のぶどうで造られている「都農ワイン」

都農町ではLINE GovTechプログラムを導入後、防災情報からごみ分別情報まで様々な情報を届けるために、防災行政無線、都農町のWEBサイト、広報誌などのチャネルを使用していましたが、より多くの方にストレスなく届けるセグメント配信が追加され、さらに適切に情報を届けることができる体制が整いました。また、申請業務の電子化などを通じて、業務効率が上がりミスのリスクも低減されています。今後は、利用者数の増加や、さらなる電子申請の種類追加やコンテンツの改善の取り組みの推進により、デジタル化による利便性を多くの方に感じていただけるよう、弊社としても貢献させていただけたらと考えています。

自治体DX、デジタル改革、LINEを活用した情報発信をご検討中の自治体の方は、プレイネクストラボまでぜひお問合せください。弊社スタッフは、GovTechプログラム for Smart Cityの導入事例を豊富に持ち、多くの自治体の課題を解決してきました。何かご質問や疑問があれば、以下の連絡先からお気軽にご相談ください。

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