LINE公式アカウントを活用されている自治体の中には、「住民からブロックされてしまう」といった悩みを抱えている現場が多く存在します。友だち登録をしている住民全員に、同じ内容の情報を一斉に送信することで、自分にとって関係のない情報が届くため、ブロックされてしまうことが懸念されます。そのような悩みを熊本県 氷川町でも抱えていましたが「スマート公共ラボ with LINE SMART CITY GovTech プログラム」を導入後、ブロック件数が減少しました。その理由のひとつに、セグメント配信機能の活用があるようです。というわけで、今回は熊本県 氷川町のご担当者に、ブロック数が減少して友だち登録数が増加した背景など、導入後の嬉しい変化を伺いました。
Contents
開庁時間を気にせず
情報を得られる環境作り
―まず、氷川町のことや、所属されている部署について教えてください
井上さん:氷川町は人口約1万人の町で、熊本県のほぼ中央、九州のへそに位置しています。いちご、梨、い草などの農業が盛んな自然豊かな町です。福岡ソフトバンクホークスの監督を務めた秋山幸二さんの出身地として、町内には秋山さんの偉業を称えて、選手時代のユニフォームなど、貴重な品を展示したギャラリーを開設しています。
所属している企画財政課は、町の財政、ふるさと納税、SNSや広報紙など、多岐にわたる業務を行っています。
—では、LINE GovTechプログラムを導入される前に、氷川町ではどのような課題や問題点がありましたか?
井上さん:令和元年9月にLINE公式アカウントを開設して、イベント情報や防災情報など、さまざまなお知らせを発信してきました。友だち登録者数が伸び悩んでいたことに加えて、登録者全員に一律にすべての情報を届けていたので、ブロック件数も多く、本当に情報を必要としている人に届いていないのではないかという課題がありました。また、日頃住民の方から電話などで行政手続きの仕方やごみの捨て方などの問い合わせがあるのですが、開庁時間を気にせずに身近なLINEを使って、手軽に質問や確認ができればいいのではないかと感じていました。
—導入を決定された理由を教えてください
井上さん:複数の事業者の方から提案をいただいた上で、自治体の活用事例、システムの操作性、コストなど、さまざまな観点から比較して、今回のLINE GovTechプログラムの導入に至っています。
緻密なミーティングで
スムーズに構築できた
—公開までの構築作業は、スムーズでしたか?
井上さん:構築期間中はプレイネクストラボさんと定期的にオンラインミーティングをさせていただいたので、構築作業の進捗も共有できました。管理システムの操作に関しても、ミーティングの際やSlackなどで質問できたのが良かったと思っています。また、コンテンツの中にある「行政手続き」の各申請の誘導の表示で悩んでいたところ、Flex Messageの活用を教えていただき、より見やすく使いやすい表示にできたのではないかと思っています。
—では、大変だった点はありましたか?
井上さん:セグメント配信の項目設定に、少し苦労したかなと思っています。当初はカテゴリーを8項目ほどに、細かく分けて用意していたのですが、あまり細かすぎるのも使いづらいかなと考えて、5項目に減らしました。また、発信者側と受信者側で考える、カテゴリーの発信内容に乖離が生まれる可能性があるというアドバイスがあり、配信内容の例を掲載するなどの工夫をしました。
ほかには、当課以外の職員に、システムや機能拡張について関心を持ってもらうことが難しいなと思っています。今後も機能の追加を考えていますので、システムに新たな機能が追加されたときや、各自治体の活用事例をSlack等でも共有いただいているので、担当課に都度共有するなどして、今後の活用促進に繋がるようにしていきたいなと思っています。
常に見直しながら
改善し続けていく
—組織の中では、どのような調整をされましたか?
井上さん:今回のLINE公式アカウントのリニューアルでは、ごみ分別の一問一答チャットボットや、ごみ収集のリマインド機能がメインコンテンツでした。担当課にデータを作成してもらって、当課で実際の画面表示を何度も確認しながら、読みやすさや伝わりやすさを考慮して、担当課と協議を重ねました。
—そのあたりは、スムーズに調整できましたか? もしくは難しかったですか?
井上さん:担当課との調整はスムーズでしたが、ごみ分別の表現の調整が少し大変でした。現時点で完成ではないので、見直しを行い、改善し続けていきたいです。
「持ち運べる窓口」として
住民が便利に活用している
—導入されてから、期間がまだ短いかもしれないのですが、これまでに抱えていた課題や問題点は解決されましたか?
井上さん:まだコンテンツが少なく課題はあるのですが、リニューアルから二週間ほどで、約100件の友だち登録があり、今までで一番登録が増えました。元々LINEを「持ち運べる窓口として活用したい」というところから始まった導入だったので、住民の方にとって使いやすく、効果が得られやすいのだなと感じたところです。
—実際に活用されてから、便利になったと感じることはありましたか?
井上さん:以前までの課題としてあった「全員に一律に情報を発信することでブロックされてしまう」ことに関して、セグメント配信を活用することで受信者側が受け取りたい情報を選べるようになり、ブロックをされづらくなりました。本当に欲しい人に欲しい情報が届くようになったのではないかと感じています。また、今回の導入で「ごみ収集のお知らせ」を始めたのですが、さまざまなパターンで繰り返し配信できるので、配信し忘れも防ぐことができ、便利だなと感じています。
—住民の方や職員の方々から、反響や感想はありましたか?
井上さん:実際にごみ分別のチャットボットを使った方からは「簡単に調べることができて便利」といった感想をいただいています。
今後もニーズを考えながら
機能などを企画したい
—友だち登録を増やす施策は、どのようなことをされていますか?
井上さん:広報紙やホームページ、公式SNSでも周知をし、庁舎内にポスターを掲示したりしています。また、今はごみ関係のコンテンツが多いので、転入の手続きに来られた方にごみの収集場所を説明する際に、QRコードを記載したチラシを配って、友だち登録のお願いをしているところです。
—最後の質問になりますが、今後はどのような新しいコンテンツや活用法を予定されていますか?
井上さん:今はごみに関する情報がメインになっているのですが、それ以外にも引っ越しなど、暮らしに関する情報も強化したいと思っています。FAQ、チャットボット、ほかには町で配信している防災メール等の連携ですね。町外の方にも登録していただけるように、観光やふるさと納税など、利用者のニーズを考えながら今後も企画していけたらいいなと思っています。
LINE公式アカウントのブロック件数が減少し、友だち登録数が増加したことで、情報の周知が強化された熊本県 氷川町。今後も機能などの見直しを続けながら、さらなる新しい機能も企画していくとのこと。「スマート公共ラボ with LINE SMART CITY GovTech プログラム」を導入することで、課題が解決されただけでなく、今後の新しい展開も期待できる取材になりました。ぜひ、LINE公式アカウントのブロック件数に悩み、友だち登録数を増加させたい自治体のご担当者の方は、プレイネクストラボまでお気軽にお問い合わせください。今回の熊本県 氷川町のように、現場に寄り添いながら導入のサポートをさせていただきます。LINEを活用した情報ツールを活用して、情報周知の強化や町おこしを実現してみませんか?