【レポート】スマート公共ラボ活用事例セミナー ~Chat GPTの確定申告業務への活用 福岡県宮若市の事例~

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スマート公共ラボ活用事例セミナー8回のレポート。スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。

プレイネクストラボ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:柏 匠、以下 プレイネクストラボ)は、GovTechプログラムの「スマート公共ラボ」で提供している最新の行政DX事例を紹介する無料オンラインセミナーの第8回を3月26日(火)に開催しました。今回はChat GPTの確定申告業務への活用をテーマに、実証実験をしている福岡県宮若市の事例を紹介。このブログでは、セミナーの内容をわかりやすくレポートします。


スマート公共ラボとは?

スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。

スマート公共ラボは、自治体職員の業務効率化と住民の満足度向上をサポートするサービス。スマート公共ラボ with LINE SMART CITY GovTechプログラムと電子申請を柱に、「役所に行かない・窓口で待たない・文字を書かない」を叶える自治体のデジタル総合窓口として、全国約100の自治体公式アカウントで活用されています。

スマート公共ラボ for GovTechプログラムについて

スマート公共ラボ for GovTechプログラムを導入すると、帳票作成、細かく条件設定したセグメント配信、複雑なシナリオ配信(チャットボット)、施設やイベントの予約に役立つカレンダー予約、緊急時に特化した災害モード、位置情報から案内できるスポット検索、決済の機能を使うことが可能。LINE公式アカウントの標準機能だけでは補えない、充実したサービスが特長です。

電子申請について

スマート公共ラボの電子申請は、マイナンバーカードを用いて本人確認が必要な申請と、交付料や手数料の支払いに便利なオンライン決済が可能。LGWANのアクセスにも対応しており、既存の業務用パソコンから利用できるため、導入の負担が少ないのも魅力です。

開発の際は各自治体のご要望に合わせて、機能やデザインのカスタマイズにも柔軟に対応。カラーユニバーサルデザインのガイドに準拠し、観光や子育てなど重視するテーマの専用メニューも作成できます。

管理機能と導入サポート

スマート公共ラボは自治体向けの分かりやすいシステムとなっており、スマートフォンのプレビューを見ながら操作が可能。導入時の負担を減らすために、複雑な作業はプレイネクストラボが代行します。ヒアリングを行いながら企画をし、設計、設定、公開までしっかりとサポート。

山形市・鳥取市の事例

山形県山形市では、LINE公式アカウントから、児童遊戯施設コパルの予約ができるように施設予約システムを導入。予約開始4日間で1ヶ月先の予約枠が埋まり、次の利用までの待機時間が0分になったという実績があります。

参考:スマート公共ラボ活用事例セミナー山形市の事例

鳥取県鳥取市の公式アカウントでは、合計数千パターンもあるゴミ捨てのお知らせ配信を実施。地域ごとの収集スケジュールが複雑でも、チャットボットを利用することで細かく対応でき、住民にとって便利なコンテンツとなっています。

スマート公共ラボ活用事例鳥取市。スマート公共ラボは、LINE公式アカウントを活用し自治体業務のDXを実現できるサービス。広報のセグメント発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報など様々なお問合せをLINEで対応でき、また、コロナワクチン予約システムなどオンラインで各種申請、予約や、住民票のコピーなど決済まで完結できる電子申請など様々な自治体業務をデジタル化することができます。

スマート公共ラボLINE公式アカウント

スマート公共ラボLINE公式アカウントでは、最新の事例やイベント情報などを配信しています。ぜひご登録いただければと思います。

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Chat GPT活用事例

プレイネクストラボの執行役員でガバテック事業の事業部長である鈴木から、Chat GPTを活用した「スマート公共ラボ AIコンシェルジュ(仮称)」のサービスや今後の方向性について紹介しました。

福岡県宮若市の事例

2023年5月から8月までの3カ月間、議会議事録を要約するという実証実験を実施。「業務効率化」、「情報流出防止」、「実証実験環境の構築と整備」を目的に実証実験を行いました。

ChatGPTに議事録を読み込ませると、要約した内容がアウトプットされます。かなり量が多い議事録でもスピーディーに約1,500字に要約され、職員の業務効率が向上。ChatGPTに読み込ませた情報が外部に漏れることを防止するため、宮若市専用のクローズドの環境を構築することで、情報流出防止への環境も確認しました。

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最近は、 ICレコーダーで議事録を音声から起こしている自治体が多いですが、議事録の要約が必要な場合にChatGPTを活用したいというニーズが強いようです。

税金に関する問い合わせ対応の事例

3月は確定申告をはじめ、税金に関する問い合わせが多い時期。職員の業務負荷を軽減するため、税金に関するFAQの問い合わせ対応にChatGPTを活用しています。

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宮若市のホームページとQ&Aの情報に、ChatGPTが収集する情報をプラスして回答を生成。通常はChatGPTに質問を投げると、一般的な回答が返ってくるのに対し、プレイネクストラボのプログラムでは宮若市専用の回答を生成できるのがメリット。セキュリティ保持にも力を入れています。

今後の展開予定

弊社のChatGPTを活用したAIコンシェルジュのサービスは、令和5年度の前半に、議会議事録の要約の実証実験を行い、自治体職員の業務効率化を進めています。令和6年度後半には、住民用のコンシェルジュサービスとして、各種問い合わせに対応できるサービスの提供を予定しています。

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従来の生成AIと異なる点は、質問対応などに加えて文書の作成や議事録の要約ができるところ。テキストや PDF、ホームページの情報を読み取ることで、生成AIよりも対応領域を拡大したコンシェルジュサービスが提供できるよう構想しています。現在およそ200の自治体がChatGPTを具体的に検討しているという情報もあるので、住民サービスの向上と職員の業務効率化に繋がるよう、プランニングを進めているところです。

確定申告問い合わせ生成AIQAチャットボット紹介~

続いて、プレイネクストラボでエンジニアPMを担当している飯野から、宮若市の確定申告問い合わせの実証実験について説明しました。

宮若市に課題をヒアリングしたところ、市民からの問い合わせに職員が対応する負担が大きいとのことでした。これまでは窓口や電話応対の際に、職員がその場で書類やインターネットで情報収集して回答していましたが、チャットボットを利用することで問い合わせ対応時間を削減し、住民サービス向上を目指すことにしました。

チャットボットにChatGPT 4.0を選定した理由は、幅広いトピックの質問に対して自然な対話を生成でき、大量のテキストデータから複雑な言語パターンを学習できるため。開発にあたり、チャットボットの学習データに優先順位をつけ、1番目は業務で利用している税関連のQA情報、2番目が宮若市ホームページの確定申告情報、3番目は国税庁のホームページの情報を取り込みました。

チャットボットのデモンストレーション

セミナーでは、チャットボットの基本的な使い方をデモンストレーションとしてお見せしました。

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下にある質問欄に知りたいことを入力すると、最新の情報を元にQとAの順番で回答を表示。情報の整合性を保つため、引用元を必ず載せるようにしています。市職員のリクエストも踏まえて、情報量が多すぎず、読みやすいボリュームで回答を提示するようになっています。

今後開発予定とそ機能

今後は、学習したデータの更新や、レスポンスのスピードとクオリティの向上、対話履歴の保存、ログインやセキュリティ面も考慮して管理する予定。情報検索といったユーザー機能も強化していきます。

宮若市の実証実験についてのコメント

宮若市の方から、今回の実証実験を行ってみた率直な感想をコメントとしていただきました。一部抜粋して紹介します。

Q1)Chat GPTを活用してみて、実務にどの程度影響がありましたか?

宮若市の回答)まだ実務に影響があるほど活用できていませんが、文書要約システムで会議の議事概要や国の制度などを要約し、その要約文を起案文書の作成に活用しました。ファイルをアップロードするだけで概要を知れ、作業の時短になりました。

また、確定申告の問い合わせをChatGPTエンジンのチャットボットから回答させる取り組

みでは、最終的にほとんどの問い合わせに対して正しい返答をするようになりました。今後は住民向けに公開したり、庁内の職員の問い合わせに対応したりすることも可能だと感じました。

Q2)今回の取り組みで職員からどのような反応がありましたか?

宮若市の回答)文書要約システムは、「瞬時に要約してくれるため便利」、「ページ数が多い文書を要約させることで、しっかり確認する必要がある文書なのかある程度判別できる」という意見がありました。

確定申告チャットボットは、「職員が国税庁HPを調べる手間が減った(税務課職員が分からないことを調べる作業にも利用できた)」、「HPの内容を学習させるので、FAQを作成する手間がかからない」という反応でした。

Q3)実証実験において発生した課題や問題点はありましたか?どのように対処しましたか?

宮若市の回答)以下の5点が課題としてあがりました。

1【ユーザーの入力内容によって回答の精度が変わる】

→キーワードのレコメンド機能や、利用者からのフィードバックをもとに回答精度を向上させること検討。

2【誤った回答の場合がある】

→回答はあくまで参考情報であることを記載し、同意の上で利用してもらうことを検討。

→情報の出典元URLを回答するように構築。

3【回答の優先度のチューニング】

→当初は「申告会場」とユーザーが入力すると国税庁HPの情報から全国の国税局を案内する回答が表示されたが、宮若市HPの情報を優先させることで宮若市内の申告会場を回答するようになった。

4【レスポンスが遅い】

→回答する文字数を制限してレスポンスの改善を検討。

5【利用者満足度を調査したい】

→回答内容の満足度を入力するボタンを設置。

Q4)Chat GPT導入にあたり、庁内でどのような質疑や懸念点がありましたか?

宮若市の回答)品質や信頼性、セキュリティ面。

この回答を受け、プレイネクストラボがどのようにセキュリティ面を強化しているのが、飯野から補足で説明をしました。

プレイネクストラボ飯野)Chat GPTを使うと情報が世の中に出てしまう懸念があったので、まず情報自体が出ないようにスクレイピングして必要なデータだけを取得する形を取りました。その際にデータベースの中で、内容を検索するのにChat GPTを利用し、外ではなく内部の蓄積された学習データから情報を取得するため、情報が漏洩しない仕組みとなっています。

Q5)今後、他の課や業務で活用できそうな感触はありましたか?

宮若市の回答)実証実験を通して、庁内向け、住民向けどちらのサービスにおいても活用の可能性があると認識しました。自治体の職員数が減っていく中で効率的に事務を行い、生産性を向上させるためにも今後の生成AI活用の重要度は増していくのではないでしょうか。

質疑応答

Q1)自治体なので、LGWAN経由で利用できるでしょうか?それとも住民向けなので、インターネット上での利用でしょうか?

プレイネクストラボ回答)今回の確定申告問い合わせにおいてはインターネット回線を利用しているので、LGWAN経由での構築ではありません。

Q2)今回のような実証実験の相談は可能でしょうか?

プレイネクストラボ回答)ご相談いただければ、できる範囲で対応を検討させていただきます。

Q3)制度変更など、元のデータに修正があった時にどのくらいの時間で適応され、回答として反応されますか?

プレイネクストラボ回答)今まさに宮若市の方からそのリクエストがあり、作っている最中です。出来上がれば即日反映が可能かと思います。

Q4)制度についての問い合わせ内容で、正誤判定が要されるものにも対応しますか?

プレイネクストラボ回答)あくまでも問い合わせに対しての回答であり、正誤を判定するものではありません。

Q5)向いていない業務や分野などがあれば教えてください。

プレイネクストラボ回答)向いてない分野は特にありませんが、個人情報に関わる部分は扱えません。

Q6)市民からの電話応答をチャットボットに任せている自治体はありますか?

プレイネクストラボ回答)弊社の標準機能で電話応答をする機能はありません。よくあるQAをチャットボットの階層構造として落とし込んで、チャットボット上で案内することは可能です。

Q7)優先順位の1から3に当たらなかった質問に対する回答の挙動を教えてください。

プレイネクストラボ回答)ひとつは、学習データから何かしらの返答を送るパターン、もうひとつは「申し訳ございません」という返答となります。

Q8)チャットボットの回答精度を向上させるにあたり取り組んだ内容を具体的に教えてください。

プレイネクストラボ回答)今回インフラのサービスで Azureサービスを使いました。その中でベクトルデータベースや文字の長さでヒット率を上げるなどして改善をしました。質問に対してなるべく適切な回答にするための施策としてそういった技術を使っています。

Q9)スマート公共ラボはLINEの拡張機能という認識でしたが、今回のスマート公共ラボAIコンシェルジュとLINEの関係性を教えてください。職員向けのチャットボット機能はブラウザで、住民向けのチャットボット機能はLINEでといったようにサービス提供環境の住み分けを考えていますか?

プレイネクストラボ回答)スマート公共ラボのGovTechプログラムは LINEの拡張機能ですが、AIコンシェルジュはLINEの機能拡張というだけではなく、ブラウザ上からも動くことができます。特に住み分けせずに LINEでもブラウザでも利用できる環境を考えています。

Q10)職員が使用する場合、どんなプロンプトを入力したかなどを管理者側で把握できますか?

プレイネクストラボ回答)履歴を残せるようにしてあります。将来的には、どういった内容が入力されたかなど、統計的なデータが出せるように作っています。

Q11)優先順位1だけでなく2と組み合わせて初めて答えられる質問に対する回答はどのようになりますか?

プレイネクストラボ回答)1と2の内容をミックスすると内容が被ってしまう部分はあるので、現在カスタマイズをしている最中です。

Q12)自治体向けの汎用的なプロンプトの紹介、提供や情報共有などは考えていますか?

プレイネクストラボ回答)現時点では考えていませんが、ニーズがあれば検討したいと思います。

Q13)データベースが増えるほど回答の精度は上がりますか?また、データベースを参照するためにレスポンスが多いと遅くなってしまいますか?

プレイネクストラボ回答)はい。データが増えるほど回答は具体的になりますが、その分レスポンスが遅くなることがあります。開発の際にプログラムをなるべくシンプルに登録して、それが回答データとして参照できるように実装しています。

Q14)ChatGPTと他のサービスは連携できますか?

プレイネクストラボ回答)できなくはありませんが、セキュリティ面をどこまで担保できるかという懸念があります。

Q15)今回のChatGPTはリリースまでどれぐらい期間がかかりますか?

プレイネクストラボ回答)データにもよりますが、企画内容が決まって、データ準備をしてそこからプログラム稼働するまでに 1か月から2か月程度かと思います。

Q16)令和6年度に実証実験ではなく商用サービスとしてリリースする予定はありますか?

プレイネクストラボ回答)実証実験が順調に進めば、令和6年後半に住民サービスを提供し、商用サービスとしてリリースする予定です。次回イベントの参加にご興味ある方は、スマート公共ラボLINE公式アカウントにご登録いただき、新着情報をお待ちください。

スマート公共ラボLINE公式アカウント
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スマート公共ラボ/GovTechプログラムについてのお問い合わせ

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