
山口県平生町では、LINE公式アカウントを活用し、住民票の写しの交付申請や、飼い犬に関する各種手続きをスマートフォンから行える環境を整えています。
現在、スマート公共ラボ 電子申請で対応しているのは、住民票の写しの交付申請と、狂犬病予防注射済票の交付・再交付、犬の登録情報変更、死亡届の5つの手続きです。
平生町では、LINE公式アカウントを情報発信だけでなく、電子申請をはじめとした行政サービスにつながる入口として活用しています。町のDX推進計画でも、LINE公式アカウントの機能を拡充し、各種電子申請へアクセスできるポータル機能を整備する方針が示されています。
本記事では、平生町におけるスマート公共ラボ 電子申請の活用と、住民の暮らしに身近な手続きをLINEから利用できるようにする取り組みをご紹介します。
- 自治体名:山口県
- 都道府県:平生町
- 人口:10,339人(2026年8月時点)
- LINE友だち数:4,112人(2026年8月時点)
- 導入開始年月:2021年5月
1.LINEを活用して、来庁しなくても利用できる行政サービスへ
平生町では、人口減少や少子高齢化が進む中でも行政サービスを維持・向上していくため、デジタル技術を活用した行政サービスの充実と業務効率化を進めています。
「平生町DX推進計画」では、「町民本位のデジタルで快適・便利なまち」の実現を目指し、行政手続きなどのデジタル化による町民の利便性向上と、デジタル技術による業務効率化を基本方針として掲げています。
行政手続きについては、窓口での待ち時間や待合場所の制約に加えて、遠方に住んでいる方や仕事などの事情から来庁が難しい住民がいることを課題として挙げています。
こうした課題に対し、町が具体的な取り組みとして掲げているのが「電子申請やSNSによるサービス拡充」です。
LINE公式アカウントの機能を拡充し、行政情報を届けるだけでなく、各種電子申請へアクセスできる環境を整えることで、住民が役場へ足を運ぶことだけを前提としない行政サービスを進めています。
2.スマート公共ラボ 電子申請で対応している5つの手続き
平生町では、スマート公共ラボ 電子申請を活用し、現在5つの手続きに対応しています。
住民票に関する手続き
- 住民票の写し交付申請
飼い犬に関する手続き
- 犬の登録情報変更
- 狂犬病予防注射済票の交付
- 狂犬病予防注射済票の再交付
- 犬の死亡届
平生町公式LINEから電子申請へ進み、スマートフォン上で必要事項を入力することで手続きを進めることができます。
幅広い住民に利用機会のある住民票と、犬を飼っている住民に必要となる手続きという、性質の異なる行政手続きに対応している点も平生町の特徴です。

3.住民票の写しをLINEから申請
住民票の写しは、さまざまな場面で必要となる身近な証明書の一つです。
平生町では、住民票の写しの交付申請をLINEから行えるようにしています。
町では以前から国が重点的に進める行政手続きのオンライン化にも取り組んでおり、子育てや介護、被災者支援など、市町村に関係する27手続きについては2022年度末までにオンライン化を完了しています。
さらに「平生町DX推進計画」では、それ以外の行政手続きについてもオンライン化を進め、デジタル化による住民の利便性向上を図る方針を示しています。
住民票のLINE電子申請も、住民が行政サービスを利用する際の選択肢を広げる取り組みの一つです。

4.飼い犬に関する4つの手続きをLINEで
平生町のLINE電子申請で特徴的なのが、飼い犬に関する手続きを複数オンライン化していることです。
狂犬病予防法により、犬の飼い主には犬の登録や毎年1回の狂犬病予防注射などが義務付けられています。また、登録内容が変わった場合や犬が死亡した場合にも手続きが必要です。
平生町では、こうした飼育期間中に発生する行政手続きのうち、「登録情報変更」「狂犬病予防注射済票の交付」「狂犬病予防注射済票の再交付」「死亡届」の4つをLINEから申請できます。
例えば、動物病院で狂犬病予防注射を受けた場合には、病院から発行された注射済証をもとに、町から「注射済票」の交付を受ける手続きが必要です。
平生町では、この交付申請をLINEから行うことができ、注射済証を撮影した画像を添付して申請できます。交付・再交付では、手数料や郵送料のオンライン決済にも対応しています。
役場の開庁時間に合わせて手続きをするだけでなく、必要なタイミングでスマートフォンから申請できる選択肢が加わっています。


5.暮らしの中で繰り返し発生する手続きをLINEへ
平生町がスマート公共ラボ 電子申請で対応している5つの手続きを見ると、「住民票」と「飼い犬」という異なる2つの分野に分かれています。
住民票の写しは、さまざまな場面で必要となる身近な証明書です。
一方、飼い犬に関する手続きは対象者こそ限られますが、犬を飼っている住民にとっては、登録情報の変更や毎年の狂犬病予防注射、死亡時の届出など、飼育期間を通じて行政との手続きが発生します。
特に狂犬病予防注射は毎年1回受けさせることが法律で義務付けられており、動物病院で予防注射を受けた場合には、その後、注射済票の交付を受ける手続きも必要になります。
こうした手続きは、必要となる場面や申請内容が比較的明確です。平生町では、注射済証の提出、申請、手数料等の支払いといった一連の手続きをLINE上から進められるようにしています。
平生町DX推進計画では、遠方や仕事などの事情で来庁が難しい住民がいることを課題として挙げ、LINE公式アカウントの機能拡充と電子申請へのアクセス環境の整備を進める方針を示しています。
住民票のように幅広い住民に関係する手続きに加えて、飼い犬に関する身近で具体的な手続きをまとめてオンライン化していることは、「どの行政手続きからLINE電子申請を始めるか」を検討する自治体にとっても参考になる取り組みといえます。
実際に住民票と飼い犬に関する手続きが対象として選ばれた背景については、後半の担当者インタビューでも詳しく伺います。
6.LINEを行政サービスの入口に
平生町におけるLINE活用の特徴は、電子申請だけを独立したデジタルサービスとして考えていないことです。
「平生町DX推進計画」では、「電子申請やSNSによるサービス拡充」を具体的な取り組みの一つに位置付けています。
その中で、町のLINE公式アカウントの機能拡充を図り、行政情報の発信力を高めるとともに、各種電子申請へアクセスできるポータル機能を導入し、行政サービスの向上を図る方針を示しています。
つまり、LINEは行政から情報を届けるだけのツールではなく、住民が必要な行政サービスへアクセスするための「入口」としても位置付けられています。
実際に平生町公式LINEでは、電子申請だけでなく、ごみ、防災、道路や公園などの異常を知らせる通報、子育て・福祉、広報など、さまざまな行政情報・サービスへの導線が設けられています。
その中にスマート公共ラボ 電子申請を組み込むことで、住民票や飼い犬に関する手続きにもLINEからアクセスできる環境を構築しています。
行政サービスごとに入口を探すのではなく、LINEを起点として必要な情報や手続きへつながる。スマート公共ラボ 電子申請は、平生町が目指すこうしたLINEを活用した行政サービスの一つとして利用されています。

7.LGWAN対応の管理画面
スマート公共ラボでは、申請状況を管理画面で一元管理できます。
管理画面はLGWANに対応しているため、庁内で業務で使用している端末からそのまま使用できます。
管理画面では、
・申請件数の確認
・未処理案件の把握
・処理状況管理
・CSV出力
などの機能を利用できます。
申請書の作成の際は、プレビューを見ながら作成ができるため誤字脱字などの確認がしやすくなっています。
また、受付件数や処理状況をリアルタイムで確認できるため、職員の業務負担軽減にもつながっています。
平生町DX推進計画では、デジタル技術による業務効率化を進めることで、職員が相談業務や企画立案業務など、職員でなければできない業務へ集中できる環境を目指しています。



7.平生町ご担当者様インタビュー
Q1. LINE電子申請を導入した背景と、当時感じていた行政手続きの課題を教えてください。
平生町ではこれまで、窓口での待ち時間や待合スペースの混雑といった物理的な制約に加え、「遠方にお住まいの方」や「お仕事などのご都合により開庁時間内での来庁が難しい方」への対応を課題として感じていました。
こうした住民の皆様の利便性向上を図るため、いつでもどこからでも行政手続きができる環境づくりを目指し、電子申請やSNSを活用したサービス拡充に踏み出しました。
Q2. 電子申請の対象として、住民票の写しと飼い犬に関する手続きを選んだ理由を教えてください。
住民票の写しの交付請求は、非常に多くの方が利用される幅広い住民に関係する手続きです。そこに、飼い犬に関する身近で具体的な手続きをあわせてオンライン化しました。
生活に密着したこうした手続きをまとめてデジタル化することは、これから「どの行政手続きからLINE電子申請を始めるべきか」と検討している他の自治体にとっても、参考になる取り組みになると考えています。
Q3. 電子申請サービスとして「スマート公共ラボ 電子申請」を選んだ理由を教えてください。
導入の決め手となった管理画面の機能として、「申請件数の確認」「未処理案件の把握」「処理状況管理」「CSV出力」などが挙げられます。
実際に運用してみると、受付件数や処理状況をリアルタイムで確認できるため、職員の業務負担の軽減や作業の効率化に大きくつながっていると感じています。
Q4. LINE公式アカウントを電子申請の入口として活用するメリットをどのように感じていますか。
LINEは単に町から一方的に情報を届けるだけのツールではなく、住民が必要な行政サービスへと迷わずアクセスするための大切な入口として位置付けています。
現在の平生町公式LINEでは、ごみ収集情報や防災情報のほか、道路や公園などの不具合を通報する機能、子育て・福祉、広報など、さまざまな行政情報やサービスへの導線をまとめており、いつでも手軽に利用できる環境を整えています。
Q5. 実際に運用してみて、職員側の受付・処理業務に変化はありましたか。
システムの管理画面によって、個別の申請処理の状況が1つの画面でパッと把握できるようになりました。以前と比べて1申請にかかる処理速度が明らかに上がり、スムーズな対応が可能になったと実感しています。
Q6. 今後、LINE電子申請で対応する手続きをどのように広げていきたいと考えていますか。
現時点で具体的な個別手続きの追加予定については検討中ですが、平生町では「平生町DX推進計画」を掲げています。
デジタル技術による業務効率化をさらに推進し、私たち職員が本来注力すべき「住民の皆様の丁寧な相談業務」や「地域を活性化させる企画立案業務」など、人にしかできないコア業務へ集中できる環境づくりをLINE電子申請機能も活用しながら今後も目指してまいります。
まとめ
平生町では、LINE公式アカウントを行政サービスへの入口として活用し、スマート公共ラボ 電子申請によって、住民票の写しと飼い犬に関する4つの手続きをオンライン化しています。
住民票のように幅広い住民が利用する可能性のある手続きだけでなく、犬の登録情報変更や狂犬病予防注射済票の交付・再交付、死亡届といった、対象者は限られるものの暮らしの中で必要となる手続きにも電子申請を取り入れていることが特徴です。
また、平生町が進めているのは、個々の手続きをオンライン化するだけではありません。DX推進計画では、LINE公式アカウントに各種電子申請へアクセスできるポータル機能を持たせ、行政サービスの向上につなげる方向性を明確にしています。
LINEから行政情報を確認し、そのまま必要な手続きへ進む。スマート公共ラボ 電子申請は、そうした行政サービスの入口をつくるための一つの仕組みとして活用されています。
平生町の取り組みは、これから電子申請を導入・拡充する自治体にとって、「どの手続きをオンライン化するか」だけでなく、「住民が電子申請へどこからアクセスするのか」まで含めて設計することの参考になる事例といえるでしょう。
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