「持ち運べる役所」から、
コロナ禍におけるタイムリーな情報を迅速に届けるために

築上町新庁舎

2021年4月1日より、福岡県の築上町役場では「LINE SMART CITY GovTechプログラム」を導入しました。当事例集では、実際に導入されるまでの経緯や、導入後の活用法など、現場の当事者だからこそ知り得たことや実体験をお届けいたします。今回は、福岡県の築上町役場まちづくり振興課広報観光係に所属されている東元友理さんにお話を伺いました。

築上町の新庁舎
築上町の新庁舎

たしかな導入実績と、
安価なコストが決め手だった

—まず、東元さんが所属されている振興課広報観光係では、どのようなことをされているのでしょうか?

東元さん:広報観光係では、主に広報・HP・SNS・無線放送などのツールで地域に密着した町内外のさまざまな情報を町民の皆さんに対して、素早く的確にお届けしています。また、観光や国際交流に関する業務も担っており、町内の豊かな観光資源を活かし、近隣の市町村と連携して広域観光を展開し、観光客誘致を推進しています。


—膨大な情報を取り扱っている部署なのですね。築上町の自治体では、以前よりLINEを活用されていましたか?

東元さん:スマートフォンや携帯電話などで多くの人々に利用されているアプリケーション「LINE」を利用し、町民の暮らしに関わるリアルタイムな情報等をより広く発信するため、2020年5月より築上町公式LINEアカウントを開設しました。

築上町公式LINEアカウント


—今回、どうしてGovTechプログラムを導入をしようと思われましたか?

東元さん:2020年7月23日の西日本新聞に「福岡モデル(福岡市とLINEが協働で取り組んできた情報提供サービスの知見や仕組み)を全国の自治体へ向けて無償提供する」という記事が掲載されており、その記事がきっかけでGovTechプログラムを知ることができました。すぐにLINE Fukuokaさんに問い合わせ、福岡市LINE公式アカウントモデルの機能のソースコードが無償で提供されるなど、導入コストが安価であり、また導入実績があることなどが決め手となりました。

重要な情報を、
町民へ確実に届けるために

—町民の方々へ情報を提供する際に、困っていたことはありましたか?

東元さん:本町は、防災行政無線機が全戸配布されており、他の市町村と比べて情報の提供はできていると思います。しかし、録音機能が備わっているとはいえ、放送されている時に、無線機のある部屋にいなければ聞くことができないなどのデメリットもあり、リアルタイムの情報を確実にお届けできているかとなると不透明な部分があったことは事実です。


—では、GovTechプログラムの導入が決定するまでのプロセスや、苦労したことを教えてください

東元さん:導入過程において、各課に十分な説明ができておらず、原課との認識の違いが生じるなど、温度差があったのは確かです。GovTechプログラムの機能面をしっかりと理解したうえで、きちんとしたプロセスを踏んで、原課と調整をしなければいけなかったと反省しています。導入に関しては、プロポーザル方式により募集し、書類選考やプレゼンテーション等を実施し、契約に至りました。


—GovTechプログラムを導入するまでに抱いていた期待や不安はありましたか?

東元さん:福岡市さんや春日市さんでの導入実績があるため、機能面等には不安はありませんでしたが、約2か月間でチャットボットシナリオ構造設計や入力用テンプレート作成、リッチメニューやイメージマップメニュー等の画像作成、チラシの作成などやらなければいけないことが盛りだくさんで「4月1日のリリースに間に合うのか?」と不安でいっぱいでした。また、2月~3月にかけては、LINE構築のほかに、他の業務もいろいろと抱え、精神的に落ち込む日々が多かったような気がします。そんな状況下においても、なんとか乗り越えることができたのは、いつも親身に相談に乗ってくださったプレイネクストラボの皆さんの支えがあったからこそだと思っています。

登録を増やすために
さまざまな施策を実施

—GovTechプログラムを導入して運用する際に「築上町LINE公式アカウント」の友だち登録を増やすために行った施策はありますか?

東元さん:今回はリニューアル(機能面の拡張)を全面的にPRするため、チラシの作成および配布(広報紙への折り込み:6,700枚、町内の保育所(園)・幼稚園・小中学校・高等学校の保護者宛に配布:2,000枚、町内公共施設等に設置;1,000枚)、HPやLINE、Facebook等でのお知らせなどを中心に告知を行いました。

各世帯に配布したチラシ
各世帯に配布したチラシ(1)
各世帯に配布したチラシ
各世帯に配布したチラシ(2)

本来であれば、4月のリニューアルに合わせ、4月1日号の広報紙に折り込む予定でしたが、LINEの個人情報漏洩の時期とリリースが重なってしまったので、断腸の思いで断念しました。結局、5月号の広報紙に折り込みましたが、バーンと華やかにスタートダッシュが切れず、リニューアルに向け、構築やリッチメニュー等の画像の作成、チラシの作成などを行った身としては残念でなりませんでした。

情報が迅速に届き、
担当者の負担も軽減する

—実際にGovTechプログラムを活用してから、メリットを感じられた点はありましたか?

東元さん:現在、GovTechプログラムと防災行政無線機との連携を進めており、8月以降に運用開始となる予定です。運用開始後は、防災行政無線機で原稿をセットすれば、自動的にLINEのトーク画面に通知が届くようになりますので、町民のみなさんに対し、いち早く正確な情報をお伝えすることが可能となります。また、連携することにより、災害時の防災担当の業務の負担が軽減されるのではと思います。


—導入後に悩まれたことはありましたか?

東元さん:セグメント配信を導入したのですが、「新型コロナウイルス関連情報や防災情報などは登録者全員に配信」「タイムラインで同様の情報を配信」していることなどが影響しているのか、思った以上に受信設定者が増えないことが悩みの種でした。先日、受信設定の案内を通知したところ、まだあまり手ごたえはありませんが、配信後すぐに100名以上の登録があり、現在も徐々に増えてきている状況です。今後も、定期的に受信設定の案内を通知していきたいと思います。

実際に配信された受信設定の案内
実際に配信された受信設定の案内


—受信設定の案内が広く周知されていけば、さらに多くの方に情報が届けられそうですね。では、困ったことや、改良をしてほしい点はありましたか?

東元さん:特に困ったことなどはありませんが、できればGovTechプログラムに掲載している一般的なマニュアルではなく、築上町に合わせたマニュアルをいただければ助かるなとは感じます。

利用者からも好評!
担当者に届く声が励み

—ところで、実際にサービスを利用している町民の方々からの反応はいかがでしたか?

東元さん:町民の皆さんから「LINEでいろいろな情報が発信されるから助かる」「いつも見てるよ」などのお言葉をいただくことが多く、励みになっています。トーク画面でごみの名称を入力すると、ごみの出し方や分別方法を検索できる「ごみ分別検索機能」が特に好評です。知りたいときに、手軽に調べられるのが好評の一因となっているようです。また、新型コロナウイルスに関する情報を簡単に探すことができる「チャットボット機能」も好評を得ています。小学校等の保護者同士でも、LINEの話題があがっているようで、運営をしている身としてはうれしい限りです。

チャットボット機能を利用中の画面
チャットボット機能を利用中の画面


—運用をされている自治体の方々だけでなく、実際に情報を得たい方々にとっても、GovTechプログラムの便利さが少しずつ広まっているのですね。では、今後の拡充予定や展開をお聞かせください

東元さん:子育て中の気になる疑問や知りたい情報をチャットボットで案内する「子育て案内」機能を拡充できればと思っています。

春になると1,000本ほどの梅が咲き誇る綱敷天満宮
春になると1,000本ほどの梅が咲き誇る綱敷天満宮

「持ち運べる役所」が
今後も全国へ広がっていく

—子育ての不安が解消されれば、多くの方のストレスも軽減されていきますね。では最後に、GovTechプログラムの導入を迷っている自治体様へメッセージをお願いします

東元さん:情報があふれた世の中において、行政がいち早くタイムリーで正確な情報を発信することが必要だと感じています。そのためにも、導入実績があり、オープンソースが強みのGovTechプログラムを活用し、「持ち運べる役所」の実現に向け、行政改革を全国の自治体とともに推進していきましょう。


—現場のリアルな声を聞かせていただきまして、ありがとうございました。こちらとしましても、情報を迅速かつ的確に伝えていかなければならないという、自治体としての重要な役割を改めて実感いたしました

東元さん:「町民の皆さんに伝えるべき情報が日々変わるコロナ禍で、迅速かつ確実に情報をお届けする」ことをモットーに、今後もタイムリーな情報を発信していきますので、もっと多くの皆さんに活用していただければ幸いです。

寒い季節に色づくメタセコイア
寒い季節に色づくメタセコイア

新聞記事でGovTechプログラムを知ってから、実際に導入に至るまでの苦労や、運用されてみて実感されたことを、丁寧に教えてくださった東元さん。築上町の町民の方々からも喜ばれている様子が感じられて、GovTechプログラムの可能性が伝わってきました。今後も機能の拡充等がされていくことで、より便利なツールとして精度を上げながら、現場で活用される場面が増えていくはず。自治体と町民の双方が幸せになる架け橋として、GovTechプログラムが利用されています。