官民一体で「行政DX」に取り組む現場の声 〜官民共創の課題や可能性に迫る〜連載第2回目

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高崎百合絵さんにインタビュー|自治体の内外から見た「官民連携」の課題と解決策とは?

「一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合」の副事務局長 高崎百合絵さん。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。
「一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合」の副事務局長 高崎百合絵さん

前例踏襲意識に染まらないことが大事!


全国的に官民連携の取り組みが活発化し、LINEを活用する「GovTechプログラム」など、情報伝達ツールを導入する自治体も増えてきています。そうした中、福岡県の自治体で職員として働きながら、「一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合」の副事務局長として活動されている、高崎百合絵さんにお話を伺いました。自治体の外側に出て活動することで、官民の置かれている立場や状況について、より客観的に感じられたことが多いのだそう。メディアではあまり取り上げられることのない、現場のリアルな実体験を語ってくださいました。


面談や会議は
もっとクリエイティブにできる


—まず、現在所属されている組織と、活動内容を教えてください

高崎さん:一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合で副事務局長を務めています。我々はイノベーティブなアイデアやソリューションによって、ベンチャーや自治体との垣根をなくし、地方創生の実現を目的とする連合団体で、私は事務局の運営を担当しています。具体的には、勉強会やスタディーツアー、ワーケーション事業、地方創生ベンチャーサミットの企画・運営、また会員同士のネットワーキングのサポートや自治体への橋渡し役を担っています。


—高崎さんは福岡市の職員であるそうですが、どのような部署に所属されていますか?

高崎さん:現在は経済観光文化局 創業・立地推進部 創業支援課の所属となります。創業支援を担当する当部署への異動と同時に現在の団体へ派遣となったため、直前の業務についてお話ししますね。直前は市長室広聴課で、市政アンケート調査や市政に関する意識調査などの広聴業務を担当しておりました。市民の方からのお電話やお手紙を受け付ける部門でもありましたので、ご意見などを直接お伺いすることもありました。

「一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合」の副事務局長 高崎百合絵さん。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。


—福岡市の職員として、悩みや課題などは感じられていましたか?

高崎さん:そうですね。いわゆる縦割り行政じゃないですが、自治体の業務は担当がきっちり決まっているので、部署のない新しい取り組みを始める際やそのような提案が来たときに「どこの部署の誰がやるの?」という問題が起こることがあります。組織の長がやりとりをするわけですが、そうこうしているうちに時間が経ってしまうのを見て、もったいないなと思うことがありました。組織内の連携不足が原因で、新たな可能性を潰してしまうような仕組みは積極的に変えていきたいですね。


—自治体の外に出て、熱意ある地方創生ベンチャー連合でも活動されるようになってからは、どのようなことを感じられましたか?

高崎さん:自治体の外に出てみて感じたことは、思っていた以上に自分が前例踏襲意識に染まっていたなという点ですかね。ベンチャー企業とのやりとりの中で、クリエイティブな発想を持った方とお話しする機会が多いので、「もっと自由な発想で物事を捉えることができれば、より実効性の高い事業創出や企画立案ができるんじゃないかな?」と思うようになりました。「面談や会議はこんなにクリエイティブにできるんだ!」ということは、自治体に戻ってから周囲に広めて回りたいですね!


お互いに歩み寄り
最適解を見つけていく


—熱意ある地方創生ベンチャー連合では「自治体職員のホンネを知る勉強会」を開催されているそうですが、どのような悩みや課題を聞くことが多いですか?

高崎さん:「自社の商品やサービスをただ売りたいという“ザ・営業”部隊が、議会対応の大変な時期に提案に来られたりすると困ってしまう」、というような話がありました。提案に来る側も、相手のニーズや状況をきちんと把握できておらず、また受ける側もはじめから身構えてしまって、本当に困っていることを伝えられていなかったりするんですよね。よくよく間に入って話を聞いてみると「そのサービスは別の部署だとかなり生かせそう!」だとか、「これを利用して自治体側が運用を変えると業務効率化できそうですよね!」といったことは、蓋を開けてみるとよくあることなんです。

各自治体の事例なども学べる勉強会やスタディツアーの一例。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。
各自治体の事例なども学べる勉強会やスタディツアーの一例


—そうした悩みや課題などに対して、どのような解決策があると考えられますか?

高崎さん:多少オーバーな表現にはなりますが、自治体の職員は未だに「お役所仕事」と言われるように形式的なルーティーンを淡々とこなし、イレギュラーなことが起きたときは杓子定規に判断をする……、そして必ず「ノー!」と言う、というようなイメージを持たれることがあります(笑)。ですが、「そんなことはないですよ!」と伝えたいな、という思いもあり、この勉強会を企画しました。自治体職員も一人の人間で、その事業に対して情熱を持って臨んでいます。ただ、実現したいビジョンへの近づき方がわからずにいるので、「困りごとや達成したいことをしっかりヒアリングして一緒になって解決していきたいんだ!」という思いを伝えていただけると、もっと良い関係が築けるのではないかなと思います。

ワーケーションなど多彩な企画を実施している。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。
ワーケーションなど多彩な企画を実施している


—では、官民がより連携していくためには、どのような改善策が考えられますか?

高崎さん:お互いの組織の特性や仕組みを十分に理解し、適宜歩み寄りながら、最適解を見つけていくことが官民連携を進めていく上で大事なのではないかと思います。また、熱意ある地方創生ベンチャー連合では、両者が歩み寄るためのノウハウやドゥハウを提供しておりますので、是非ともご活用いただきたいです(笑)! ご相談はこちらhttps://netsui.or.jp/guide/)からどうぞ。

2022年度も地方創生ベンチャーサミットを開催予定。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。
2022年度も地方創生ベンチャーサミットを開催予定


GovTechプログラムは
生の情報収集にも活用できる


—最近、全国の自治体で「GovTechプログラム」の導入が進んでいて、自治体から住民に情報が伝わりやすくなり、住民からも自治体に意見を伝えやすくなりました。こうした最近の官民連携の取り組みに関しては、どのように感じられていますか?

高崎さん:逆説的にはなりますが、未だに前例踏襲の文化が根強い行政においては、すでにある程度の実績があるサービスや商品については取り入れやすいので、完成形のイメージがわかりやすく、高い効果が期待できるものであれば、導入障壁は下がるのかなという印象です。一から新しく作るよりも、効率的で費用が抑えられ、性能が確かなものを導入できるのであれば、それは大きな利点だと思います。

GovTechプログラム導入自治体参考例。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。
GovTechプログラム導入自治体参考例


—たとえばGovTechプログラムについては、自治体などで話題になることはありますか?

高崎さん:偶然にも、過去にリッチメニューに関係する部署にいましたので、職場内で機能や利用場面についての話をすることはありました。これは個人的な考えですが、面と向かって「何が必要ですか?」と聞くよりも、実際の検索記録など蓄積データの方がよりリアルなニーズを読み取ることができるのであれば、情報収集のツールとしても期待できるのではないかと思っています。


市民満足度の向上と
自治体業務の効率化に繋がる


「一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合」の副事務局長 高崎百合絵さん。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。


—たしかに情報を伝達するだけではなく、リアルな情報を収集できるツールとしても活用できますね。ほかにも有効な活用方法はありますか?

高崎さん:例えば、若い方や子育て世代など、SNSの利用割合が高い層に向けてのサービス提供や情報発信と相性がいいように思います。自ら情報を取りに行く文化のある世代にとっては、悪評高い行政のサイトを検索するよりも、必要な情報にアプローチしやすいんだと思います。また、電話で問い合わせるハードルって意外と高いじゃないですか? 自治体側も限られた人員で対応しているので、問い合わせの頻度が高かったり、対応の時間が長かったりすると多少なりとも負担になることもあるわけです。そんなときに、市民側は気軽に利用できて、自治体側は負担が減らせる仕組みがあれば、両者ハッピーですよね! あれもこれもDX化すればいいというような、それ自体が目的になってはいけないと思いますが、うまくハマる場面での導入・活用は、市民満足度の向上にも、自治体業務の効率化にも繋がっていくのだと思います。


—自治体の外でもさまざまな経験をされてきたことで、官民それぞれの状況を俯瞰的に把握されてらっしゃるのだという印象を受けました。このような経験や感じられたことを、福岡市の自治体に戻られた際に、どのように活用されていきますか?

高崎さん:最近では外部人材の活用や民間企業からの転職採用の職員も増えてきましたが、自治体職員の中には新卒で入り、民間企業の仕組みやルール、スピード感にまったく触れることなく過ごす方が多くいらっしゃいます。前例踏襲が当たり前だったり、決まった型に疑問を持てなかったりというのは、本当にもったいないことだと思っています。短期間ではありますが、民間企業でさまざまな経験をさせていただき、そこで学んだスキルやマインドといったものを是非とも共有したいと思います。


—本日はとても貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございます。では最後に、ご自身の今後の展望をお聞かせいただけますでしょうか?

高崎さん:私は「誰もが自分らしく生き、挑戦できる社会の実現」をライフテーマとしています。公務員こそ、業務内でも業務外でも「新しいことに挑戦していこうよ!」と声を大にして伝えたいと思います。現在、この考えに賛同してくれるメンバーを全国から集めており、仲間たちと共に「チャレンジする公務員を創出する仕掛けづくり」に取り組もうとしています。そこでは、制限はありますが副業や組織の立ち上げ、民間企業での就業体験などに取り組む公務員を応援していきたいと思っていますし、自らもプレイヤーとして挑戦を続けていきたいと思っています! 現状に留まらずチャレンジをし、身に付けたスキルや経験を生かして、社会に価値提供できるような…そんな公務員を増やしていきたいと思っています。

「一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合」の副事務局長 高崎百合絵さん。スマート公共ラボは、自治体業務のDXを実現できるサービス。広報をセグメント化した情報発信から、AIチャットボットを活用しごみ捨て情報のお問合せや、コロナワクチン予約システムによる各種申請・予約などの自治体業務をデジタル化することができます。

行政や仲間たちの可能性を広げていくために、日夜奮闘している高崎さんの姿が目に浮かぶインタビューでした。メディアではあまり取り上げられることのない現場のリアルな実体験は、自治体関係者の方々だけでなく、さまざまな立場にいる方にとっても、何らかの大きなヒントになったはず。お役所に対する旧態依然のイメージはもうすでに色あせており、新たな世代のリーダーたちが、より理想的な未来を彩り豊かに描き始めています。

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